これからどうしよう編
第10話 そして物語は進むのです
「はい! 皆集合! そこの二人、起きてくれ」
俺が妖精とツンデレ美少女に声をかけると、二人は寝起きのカメみたいにのそのそと起き上がった。
「落ち込んでてもしょうがない。悩んでても始まらない。ひとまず移動しよう」
「移動するって……どこにですか?」
どんよりとした空気をまとう妖精に。
「んー……とりあえず、実家かな?」
俺は淡々と答えた。
「実家?」
「そう、実家。俺が死んでまだそんなに経ってない筈だし、この顔なら多少若返ってても両親なら気付いてくれると思ってな」
我ながら名案だと思ったのだが。
「死んでまで親を頼るとか……なっさけな」
ツンデレ美少女の言葉が刺さる。
「ていうか、死んだら葬式代とかかかるんじゃないの? ていうか、喪にふくしてるんじゃないの? ていうか、たちの悪戯だと思われるんじゃない?」
彼女のうだうだとした、だが妙に攻撃力のある言葉に殴られながら、俺は頭を捻る。
けど、上手く彼女が納得してくれそうな言葉は浮かばず……。
ぐぅ~……。
と、ツンデレ美少女のお腹から聞こえて来た空腹音を利用して、彼女を誘導しようとした。
「まあ、情けなくはあるし、俺が息子だって信じてもらえないかもしれないけどさ。今は先立つものがないんだ。このままじゃ、今日食べるものにも困るだろ? それに、俺だって親の顔、もう一回くらい見ておきたいしね?」
この返答のどれが効いたのだろう?
彼女自身の空腹を満たせないという危機感がそうさせたのか、もしくは俺の言った親の顔をもう一度見ておきたいという言葉に感じる所があったのか。
「……まあ、なにもしないよりはいいわよね」
そんな言葉を口にして、彼女は俺に同意し、ゆっくりと起き上がった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます