第5話 盛大なブーメラン

「容姿:不変がSSRも納得できなかったけど」


 紙に書かれた『能力:なし SSR』の文字列を見て。


「これが一番納得できないな」


 俺は顔をしかめた。

 すると、ツンデレ美少女がぽんっと手を叩く。


「つまり、役立たずってことね!」


 これに関しては全く反論の余地がない。

 無個性が個性、みたいなきれいごとでは彼女に対しての反論どころか、自分自身への慰めにもなりそうにかった。


「あの……マスター、元気出してください」


 優しい妖精の言葉が耳に刺さる。


「ありがと……慰めてくれて」


 しかし。


「そんな役立たず慰めなくたっていいわよ」


 塩対応のツンデレ美少女は辛辣だった。


「転生までして能力がなにもないなんて、ほんっと悲しい性よね。前世でどんな行いをしていたのかしら?」


 わざとらしく頬を膨らませ「ぷぷぷ」と笑う美少女に俺は泣きたい気分で目線をむける。

 だが。


「あの……」


 またもおずおずと手をあげた妖精の一声で、美少女の顔から嘲笑の表情ははがれることになった。


「実はですね、マスターの能力っていうのは……使い魔と嫁のステータスに直結する部分がありまして」


「なに? どういうことよ?」

「えっと……非常に言いにくいんですが。今までの発言が非常にブーメランと言いすか……マスターの能力がないせいで、私やツンデレ美少女さんの能力もなしということになってるみたいです」


 この後、「なによそれー!」という大絶叫が美少女の口から発せられた。

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