第二章 聖域の守護者達 -The story of BLUE-
第十八話 佐々木楓と魔法少女達
かつてこの領域では、四つの勢力が鎬を削り合っていた。
保守派筆頭にして領域最古参の魔法少女『
遠藤梓葉に次ぐ古参である『
新興勢力であり金儲けの為に魔法使いと眷属を狙う過激派アウトロー集団――――〝
そして別の領域より侵略してきた最強最悪の魔法少女勢力――――〝
武蒼衆、Luminous Ars、STORM RIDERSは小さな抗争を繰り返しながらも、睨み合いを続けてきた。
だがその均衡はAcid Rouge Masquerade通称〝アシッド〟の襲来により崩れる事となる。全ての魔法少女を狩り、その力を己の者とする――――その思想に基づき侵攻してきた彼女達は、牡羊座の支配領域にある三勢力と正面から激突を繰り返した。
異なる領域において既に数人の魔法使いを打ち倒したアシッドの戦力は圧倒的というほかなく、恐ろしいことにその頂点に立つ王は未だ戦場に姿を表していなかった。それが意味するところは切り札を隠し持った状態で、三つの勢力と渡り合えるだけの戦力を保有しているということである。
その様な危機的状況においても三勢力が手を組むことはなく、次第に魔法少女達は消耗していく。
状況を打開する術はたった一つしかなかった。を侵略者達を統べる王、『ベルベット・ベル』を倒すこと――――武蒼衆頭領の遠藤梓葉は右腕二人を連れて奇襲を仕掛け、ベルベット・ベルを表舞台へ引きずり出す事に成功する。
そうして領域最大の抗争へと発展したが、それは意外な形で終息した。
アシッドの襲来より少し遅れて牡羊座の支配領域に辿り着き、それまで実力を隠し息を潜めていたサラ・クレシェンド。そして牡羊座の魔法使いの指示により、機を窺っていた守護眷属シエラ。
全勢力が最も疲弊したその瞬間を狙って両名が乱入、魔法少女達は変身を維持するだけの力さえ失い深海から駆逐され幕を下ろした。
佐々木楓が魔法少女になる数日前の出来事である――――そして今、領域の中心は鋭い殺意に支配されていた。
蒼、紅、翠。それぞれのチームカラーと思しき戦闘装束に身を包む魔法少女達。
共通しているのは、皆が楓とその後ろにいる〝乱入者達〟に視線を向けているということ――――此の時を待っていたと言わんばかりに、その視線には確かな怒りが込められている。
その渦中に立つ楓を真っ直ぐに見つめながら、今にも弾けそうな張り詰めた空気の中、蒼の少女が口を開いた。
「新入り……後ろの奴ら引き渡すしてさっさと消えるか、諸共潰されるか――――」
「――――好きな方を選べや」
第二章『領域の守護者達 -The story of BLUE-』――――開幕
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