第8話
僕たちが公園を出る頃にはすっかり暗くなってしまい、時折カラスが鳴いている。独り身だったら闇討ちされそうな不気味な雰囲気がそこにあり、杏奈がしっかりと手を繋いでくれなければ心細い思いをしながら歩いていたことだろう。やっぱり、公園で彼女とサヨナラしなくてよかった――というのは冗談で、ここから華崎寺までは歩いて三十分かかる。この公園までも歩いてきたわけだし、いつもなら倦怠感が襲ってきてるはずなのだが、彼女と一緒に歩くのはこれで最後かもしれないと思うと、名残惜しさしか僕を襲うものはなかった。
そして、僕たちはとうとう約束の地――華崎寺公園に到着する。本来はもう営業時間を過ぎているのだが、クリスマスに伴いイルミネーションされているため、一部のアトラクションは二十時まで営業している。現在は十八時なので、あと二時間の猶予がある。自慢の観覧車は遠くから見てもしっかりと確認できるほどに華々しくライトアップされており、クリスマスツリーをイメージした緑を基調とし、それに加えて赤・青・オレンジ色の光が観覧車を飾る。入り口である北門への道は、手すりが赤くライトアップされ、その上に点在するアーチは暖かいオレンジ色で彩られている。周りはカップルだらけのこの道を、今日限りの彼女である杏奈と手を繋いで歩く。彼女はとても満足そうに、今にもスキップしそうな軽い足取りで北門へと近づいていく。
入場料は無料だが、アトラクションに乗るために券が必要なので、北門の近くで回数券を2つ買い、片方を杏奈に渡す。ここのアトラクションは全国的に有名な遊園地と比べると派手さはないものの、それと比較して利用料金が安いことが特徴だ。そして北門をくぐると、園内のイルミネーションとともに、ライトアップされたアトラクション――そして、クリスマスでは定番曲の、『マライア・キャリー』の『恋人たちのクリスマス』が園内を流れ、僕たちを歓迎してくれた。
「最初、どれ乗りたい?」
僕が尋ねると、杏奈は目の前のアトラクションを真っ直ぐ指差した。
「やっぱりジェットコースターでしょ! 昔ここに来た時、かーくんが怖がって乗れなかったし!」
「あー、そんなこともあったなぁ……」
今は克服したが、昔は高所恐怖症で、ジェットコースターのような絶叫系アトラクションは大の苦手だった。それも由紀と遠路遥々デイジーランドだったり、辻急ハイランドに行くことでなんとか乗り越えられた――はずだ。
「本当に大丈夫なのー? あの絶対乗らないって言い張ってたかーくん、未だによく覚えてるんだけど」
「もっとヤバイジェットコースターに乗ってきたから大丈夫」
「ホントかなぁ」
疑いの眼差しを差し向けられながら、僕はジェットコースターがある右手の方へと歩いていく。公園にいる時に吹いていた風は止み、色とりどりの幻想的なイルミネーションが華崎寺を支配している。もっとキレイで数多のアトラクションを用意し、サービスも充実しているデイジーランドのようなテーマパークは日本にたくさんあるだろう。しかし、今の僕らにはここで充分――いや、ここでないとダメなのだ。だって、十二年前の彼女と約束したのは他ならぬ華崎寺公園なのだから。
僕らはすぐにジェットコースター乗り場へと到着する。カップルで賑わっているとは言え、そこまで混雑しているわけではないので、数分間待つだけであっさりと乗れた。ジェットコースターに乗っていたお客さんが「お疲れ様でしたー」という係員の声がけによって安全装備が外されると、安堵の表情を浮かべて「楽しかったね」とか、「次はどうする? 観覧車乗る?」などと、密着しながら楽しげに会話を繰り広げていた。
「かーくんがジェットコースター乗れるかどうか、今日一番楽しみかも」
「それは大袈裟でしょ……」
「いやいやいや! 泣きながら拒絶したあのかーくんが乗ろうとしてるんだよ? 成長を知れるいい機会でお姉さんは期待してますよ」
「十歳で死んでるんだしどっちかというと妹な気がするんだけどなぁ……」
などと、くだらない話をしつつ係員に案内され、僕たちはジェットコースターに乗り込んでいく。僕と杏奈は偶然にも一番前の席で、それもあってか彼女の全身から喜びが迸っていた。一方の僕も、ふわふわっと身体が浮き上がるような感覚を味わっていたが、それは彼女と共にジェットコースターに乗れるという満足感によるものか、あるいは未だに高所恐怖症が乗り越えられていなくて、その恐怖感によるものか、どっちかは判別できなかった。
ジェットコースターに乗るために並んでいたお客さんを全て乗せ、「そろそろ動き出しますよー」と係員が僕たちに呼びかけるとすぐに、マシンが動き出す。最初はゆっくりと、しかし次第にスピードを上げ、高度を上げていく。左手に座る杏奈はわくわくしてそうだが、そんな彼女の表情を確認せず――否、できずに僕は真っ直ぐ絶叫マシンが行く先を見つめることしかできなかった。
スピードに乗ってジェットコースターが一気に下っていくと、あちこちからキャーッ、という悲鳴が上がる。僕は悲鳴を上げる余裕もなく、ただ黙ってマシンに揺られていた。そんな時、隣から声をかけられる。
「やっぱりかーくん、ジェットコースターダメじゃん!」
なおも猛スピードで走る中、杏奈は僕に聞こえるように大きな声を出して、そして不敵な笑みを浮かべる。僕はぶんぶんと首を振ったが、彼女は愉快で仕方ないという表情を僕に見せつけてきた。僕はやれやれと思いながらも、やっぱり絶叫系のアトラクションは合わないということを認めざるを得ず、僕は無心でただひたすらにマシンに支配され続けた。
約三分間走った後、僕はジェットコースターから解放された。係員の「お疲れ様でしたー」がこれほどまでに救われる言葉だったのかと思い、死にかけていた僕の心は洗われていく。安全装置が外され、僕は杏奈がマシンの外に出ると速やかに続いたが、彼女は明らかに優越感に浸っていた。
「楽しかったー! ……かーくんはどう?もちろん楽しかったよね?」
「……まあ、杏奈と一緒に乗れて幸せではあったよ」
「そうやって上手いこと言って私を乗せようとしてもダメだからね! ……嬉しいけど」
調子に乗ってくすくすと笑っていた杏奈が照れ始めたのを確認して、心の中でガッツポーズをする僕は、次なるアトラクションを目指して歩き始める。営業しているアトラクションが少ないせいもあるが、時間的に次のアトラクションと、その次にはお約束の『アレ』に乗るとして、あと2つしか乗れないだろう。
「杏奈、次は『エアーファイター』に乗らない?」
「おっ、いいね! 昔乗ったときはかーくんとお互い文句言いながら乗ってた気がする!」
初めて杏奈と華崎寺に来た時、一番印象に残っているのはそのエアーファイターだった。そのアトラクションは戦闘機の形をした乗り物に乗り込み、それをボタン操作することで戦闘機を操縦し、前の戦闘機を撃ち落とすというアトラクションだ。撃ち落とされても、一気に高度が下がるくらいでその後もマシンが規定時間で止まるまでは動かせる。12年前は杏奈が高度を調整して、僕が機銃を発射するという役割分担で楽しんでいた。その時は、
「ちょっと……かーくんちゃんと当ててよ!」
「いやー、今のは杏奈が急に高度下げるから外れた」
「後ろが明らかに狙ってきてるから下げたの! ……もう、かーくんがさっさと撃たないからー」
などと、軽い口喧嘩をしながらアトラクションを楽しんでいた。今日もそうなりそうだなという予感を抱きつつ、自然と僕の足取りも軽くなる。間違いなく、ジェットコースターなんかよりは遥かに楽しめることだろう。
歩くこと数分、戦場の舞台が目の前に現れた。僕たちは現在戦闘を繰り広げている空中を眺めながら、肩を寄せ合う。――昔の記憶を蘇らせながら。そして間もなく、全てのマシンがゆっくりと下降を始め、地に着こうかというところで停止する。その後乗客が次々と降りていき、並んでいた僕たちは次々と係員に先導されて乗り込んでいく。僕と杏奈は、赤いデザインの戦闘機に乗り込んだ。機体は夜間でも見えやすいようにライトアップされている。並んでいたお客さんが全員搭乗すると、いよいよ機体が動き出す。今回は、僕が高度を調整する側で、杏奈が機銃を撃つ担当ということにした。元々そうするつもりでいたのだが、
「かーくん、今日は絶対に撃つ方やりたい! 一生のお願いだからやらせて!」
一生のお願いも何も、もうキミは死んでるじゃないか――なんて野暮なことは言わず、青い瞳をこれでもかと輝かせて言っていた彼女の頼みを聞き入れ、その分担となった。
機体が動き出した後、僕はひとまず前の緑色をした機体を狙おうと、高度を合わせに行く。きっと、前の機体はその前の機体を狙っているはずなので、そこに高度を合わせれば微調整をしなくても勝手に同じ高度に達して、杏奈が狙えるだろう。そう考えて前の前の機体に高度を合わせるという策に出たところ――果たして前の機体が狙える高度に調整できた。すかさず杏奈は人差し指をボタンに突き刺すようにして、
「いっけー!」
そう叫ぶと、前の機体に命中したらしくそれの高度が急に下がり始める。その乗客が、
「まじかよ」
「リア充にやられるとか……」
恨み言を男子高校生二人組が口を揃えて並べており、それを聞いたのか杏奈はガッツポーズを見せて僕に抱きついてきた。
「やったぁ! かーくん、撃つほうは下手だったけどそっちは向いてるよ!」
「下手とか言うなし……あと今の体勢ボタンが押せなくて後ろに狙われるし、視線も痛いから」
「いいじゃん、少しくらい」
舌を出しながら、杏奈は元の体勢に戻っていく。その勢いで前の前の機体を狙おうと思ったが、後ろから殺気を感じたため、一旦高度を下げて様子を見ることにした。すると、やはり狙ってきていたようで、後ろから「くそっ、外した」という声が漏れていた。
「この配置で正解だった、杏奈に任せてたら今頃撃たれてたよ」
「私もこれで正解だったと思う。かーくんだったら絶対外してたもん」
作戦が成功した後、お互いに役割分担が正しいことを認めつつも、十二年前の事を蒸し返して鋭い視線を浴びせ合うのは、僕たちがあの頃から何も変わってない証拠のように感じられ、なんとなく晴れ晴れとした気分になっていた。
少しの間様子を見た後、前の男子高校生コンビを再び撃ち落とすことに成功したところで、マシンが降下を始めた。撃墜されたかと思ったが、タイムアップで降下していることを係員の一声で知り、僕たちは安堵しつつ、機体から降りる。前の高校生には、少しばかり意地悪しすぎて『悪い夢』を見せてしまったが、来年は彼らが彼女を連れてここに来れることを祈って、せめてもの償いとした。
「かーくん、次は……」
「時間もあんまり残されてないし、最後にあれに乗ろうよ」
僕は園内で一際目立つイルミネーションを施された――観覧車を指差した。杏奈は声を詰まらせたが、僕の提案に頷くしかなかった。――終わりは例外なく訪れるのだと彼女は立場上、理解せざるを得ない。僕はもっと早く彼女の正体に気づいていれば、もっと時間を有意義に使えたなと後悔し、そのことに胸が締め付けられる思いがしたが、最後くらい気丈に振る舞おうと、僕は虚勢を張る。そんな僕の姿を見かねてか、彼女は僕に微笑みながら、フィナーレへと近づいていく。
「十二年前――かーくんはジェットコースターが無理で結局乗らなかったけど……私は観覧車が無理で……乗ろうとしなかったんだよね」
観覧車に向けて歩いている中、ふと彼女が本音を漏らす。僕は黙ったまま、彼女の話を聞く。
「本当はさ、かーくんへの恋愛感情に気づいたのは、最初にここで遊んでる最中で……元々は最後に観覧車に乗ろうと思ってた。だけど……観覧車以外の全部のアトラクション回ったし、いざ観覧車に乗ろう! ……とした時、急に恥ずかしくなってきちゃってさ。……あの日はそのまま帰っちゃったんだよね。告白してたらどうなってたんだろうって今では思うけど」
「うーん……僕は恋愛感情に気づけずに、失って初めて気づいたからどうだろう……少なくとも即答はできなかったと思うね」
思案顔で、僕は彼女の言葉に答える。あの頃はかなり鈍感だったから、そんな彼女の感情の変化には気づけるはずもなく、遊園地デートを約束したあの日だって、そんなに深く考えていなかった。――今も、由紀に対する思慮不足からして、改善されていないのかもしれないが。
「――ま、あの時告白してたらかーくんにもっと迷惑かけてた気がするから、しなくて正解だったのかもね!」
笑いながらも、心はひどく泣いている彼女の言葉を聞いて、僕はかける言葉を見つけられないまま――観覧車の入り口へと近づいていく。
係員に二人で乗ることを告げて、回数券を渡して、とうとう僕らは観覧車へ誘い込まれるようにして乗り込んでいった。外の騒がしい喧騒から一線を画して、広くはないそのゴンドラの中は静寂を保っている。僕はそっと腰掛けると、それに相対する形で杏奈も外を確認しつつ、腰を掛けた。
ゴンドラが動いていき、少しずつ昇っていく僕たちはただじっと、口を開かないまま外の華やかなイルミネーションを眺めていた。もう残された時間が少ないことは重々承知しており、何か話題をと思ってあれこれ話のネタ探しを頭の中で懸命に試みるものの、口からは何も出てこない。「今日はありがとう」とか「今日のことは忘れない」などという陳腐な言葉しか見つからず、僕は躊躇している。外はこんなに鮮やかな世界が広がっているのに、このゴンドラの中は暗い雰囲気が漂っていた。
そんな中、杏奈は視線をこちらに向けて笑みを浮かべながら重い口を開く。
「今日は私のワガママに付き合ってくれて、本当にありがとね。――やっぱり由紀ちゃんには悪いことしちゃったな……」
「こちらこそ、ありがとう。メンタルが死んでた時期に会えたおかげで、すごく気分的に楽になったよ。由紀のことは、あっちに戻ったら僕がなんとかしてみる」
「うん、そればっかりは私ではどうにかできないから……よろしくね。――昔、由紀ちゃんがかーくんのこと好きなの知ってて、近づいて噴水公園で二人っきりの時間を過ごしたり、遊園地でデートしたり……なんか出し抜いてる感じがして、悪いとは思ってたんだけど……かーくんといると楽しくてさ。事故って死んじゃったから、もう長野杏奈として生きることはできないわけだし、かーくんと由紀ちゃんには幸せになってほしいって心の底から思ってる。……けど」
少し表情を曇らせ、声を詰まらせた杏奈の次の言葉を待ちながら、僕は頷いてじっと耳を立てる。いつの間にか、ゴンドラは一番高いところへと向かおうとしているところまで上昇しており、園内やその周辺が一望できる絶好のポジションにいた。しかし、今はそんな景色なんかよりも、杏奈のことで頭の中が支配されていて、あまり印象に残らない。そして彼女は深く息を吸い込むと、作り笑いを浮かべて言い放つ。
「――私のことは、『アン』との思い出も含めて全て、忘れてください」
「……はっ?」
彼女の言葉に僕は耳を疑った。「この世界が消えても見守ってるから」みたいなポジティブな言葉を期待していたのに、杏奈のことを忘れろだなんて、到底納得できるものではなかった。僕は拳を震わせたが、杏奈は追い打ちをかけるように言葉を紡ぐ。
「ごめんね、色々考えてたけど――このゴンドラのドアが開いたら、『長野杏奈』も『アン』もかーくんの記憶から消えようかなって。由紀ちゃんと付き合っていく上でやっぱり私は邪魔な存在だって、今日幸せな時間を過ごしながら、思っちゃったから……だから私は――」
「それ以上は聞きたくない」
僕は勢い良く席を立つと、彼女に顔を近づけていく。驚く彼女の顔を間近で確認しながら、彼女の両肩に手を置いて、唇を塞ぐ。
「んっ……!」
彼女の口から声が漏れ、手が僕の腕を掴もうとするが、すぐに力を失って、弛緩する。そしてそのままの状態で三十秒ほど経っただろうか、僕のほうから離れて、見つめ合う。
「ねぇ……こんなことしていいの? 由紀ちゃんがいるのに……」
「一応、今はフリーですから」
目を白黒させる杏奈と顔を合わせつつ、苦笑いして僕が答える。もちろん、由紀との関係をやり直そうと決意を固めているのにこんなことをするのは今度こそ正真正銘の浮気だと非難されても仕方のない行為だ。しかし、同じくらいの決意を固めている杏奈を動かすには、このくらいの強引な手段を取るしかないと、僕は思っていた。
「それでも、だよ。……やっぱり私は消えたほうが――」
「さっきの行為で、キミはまた一つやるべきことが増えたよ」
「……えっ?」
ゴンドラは下降を始めて、どんどん地上が近づいていく。彼女が消えようとする前になんとか交渉しなくてはならない――僕は不敵な笑みを浮かべると、彼女は怪訝そうな顔で、僕の言葉を待つ。
「確かに、もう現実世界じゃ杏奈は生きられないのかもしれない――だけど、ここみたいな夢の世界ならまた会えるでしょ? だから今日隠れて付き合っていたことを、二人で由紀に会って謝罪しよう。僕が主犯で、杏奈が共犯ってことでいいから」
「でも、そんなことしたらきっとまた由紀ちゃんとの関係がこじれちゃうよ」
「僕と同じくらい、由紀も杏奈に会いたいと思ってる、きっと。だから……消えるとか言わないでほしい」
悲痛な叫びを上げつつ、僕は頭を下げる。そんな僕を見て彼女は立ち上がると、頭の上のポンと手を置いた。
「……もう、しょうがないなー。キスまでされちゃったら、かーくんの頼み……聞いてあげなくちゃね」
僕が頭を上げて、杏奈の顔を覗くと、嬉し涙を流す姿が目に入る。彼女はゆっくりとドアの方へと近づいていく。ゴンドラはもう間もなく地上に着こうとしており、それはこの世界の終わりを示していた。
「うん、じゃあ……かーくんと約束する。必ず、会いに行くって。その時は由紀ちゃんと一緒に……どこか行きたいね。そのためにも、しっかり仲直りするんだよ?」
「それは僕も約束する。必ず――由紀とやり直すって」
真剣な眼差しを送る僕を見て安心したのか、杏奈はうんうん、と何回か頷く。そしてゴンドラが停止したことを彼女が確認すると、顔をこちらに近づけてから口を開く。
「最後に……言い忘れてたけど、かーくん……メリークリスマス。また会える日まで――バイバイ」
最後に彼女は肩の辺りで小さく手を振ると、今日一番の笑顔を見せ――そして世界が白い光に包まれる。
そうして、僕の二回目のクリスマス・イブは終わりを告げた。彼女の居ない世界で、彼女と交わした約束を胸に刻みながら、僕はしっかりと今日を生きてゆく。――次は、彼女に頼らない強い男になろうという、漠然とした願望を抱きつつ。
メリークリスマスにさよならを 大友神流 @Kanna_Otomo
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