第12話お弁当①

母のお弁当は美味しくて大好きだった。

けど、忙しい時とは別に私にだけお弁当がない時があった。



小学校2年生の運動会のリレーで1位になった。


喜んでくれると思って、走っていって母に「お母さん1位になったよ!」と言った。


すると母は、「1位じゃなくて3位になりなさい。」

「人の後姿を見て走りなさい。」

そう言った。


私は、1位より3位の方が好きなんだと思って、次の運動会では3位になろうと決めた。


その後は家族でお弁当を食べた。



小学校3年生の運動会での、リレーで何番目か確認しながら走って3位になった。


やった!

母のもとに行く。

「3位になったよ。」笑顔で言った。


母は何も言わずに、1位を獲った姉を褒めていた。



何で?


悲しい気持ちになって、その場から離れた。

ふらふら1人で歩いていたら、男の先生が手で呼んでる。


膝の上にのせてくれた。

そして、おにぎりを渡してくれたのだ。


「ありがとう。」


私は何故か、バレないようにテーブルの下に隠れながら、おにぎりを食べた。



そして、私たち家族は引っ越しする事になって転校した。


新しい学校での初めての運動会。

小学校4年生の記憶がない…。



小学校5年生の運動会では、お弁当を持って学校に行った。


お昼の時間に中身が気になった私は、教室に持っていってみた。


真っ白いご飯だけだった。

すぐにランドセルの中にしまった。


1人で教室にいたら、先生が来た。

(6年生になったら始めるバレーボールの先生)


先生「お弁当は?」


私「もう食べたよ。」嘘をついた。


先生「嘘ついた。」その場から立ち去ろうとした。


私「待って!お弁当あるよ。」


先生「みせて。」


私はランドセルから取り出してお弁当箱をみせた。


先生「開けてみせて。」


私はためらったけど、真っ白いご飯だけのお弁当をみせた。


そして、先生のお弁当のおかずを半分にして2人で食べた。



小学校6年生の運動会では、お弁当箱の中は空っぽだった。


またバレーボールの先生が教室まで来てくれて一緒に食べた。



先生には本当に感謝している。

もっとありがとうを伝えれば良かった。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る