第7話バレーボール

小学6年生の夏頃から、バレーボールを始めた。


きっかけは姉が見学に行くから、母に一緒に行きなさいと言われたから。

最初は、行きたくなかった。


近所の先輩がテニス部で楽しいと聞いていたから、中学生になったらテニス部に入りたいと思っていたのだ…。


しぶしぶ、一緒に見学に行く。


最初はアンダーやトスの練習をさせてもらった。


別のコートからバンッ!バンッ!

音がして気になる。


わぁ!!

スパイクを打ってるエースの子が目に入る。

かっこいい!!


私もエースの子やキャプテンみたいに上手くなりたい。


すぐにバレーボールをもっとやりたいと思うようになる。


そして、通うようになりスポーツ少年団に入った。


毎日、練習があればいいのにと思うほど楽しくてしかたなかった。



でも、先生は厳しくて失敗したチームメイトを叩いたりしていた。


私は、それを見ると体の力が抜けて動けなくなる。

そして、過呼吸になったりフラッシュバックが起こっていた。

いつも、キャプテンとエースの子が見なくていいよと言って、別の場所に連れて行ってくれていた。


フラッシュバックの光景はいつも、違っていた。

でも、幼少期に見た事だ。


ホームレスの人が自分で瓶を頭に叩きつけて、倒れて血を流している光景で

救急車が来て運ばれて行った事。


自分がやってない事を母に怒鳴られて叩かれている光景。


近所の人が怒鳴り合って殴りあいしている光景。


など、他にも鮮明に見えてしまうのだ。



しばらくしたら、普通に戻る。

そして普段の先生は優しい。


私がピンチサーバーで入る時は、いつも魔法の言葉を掛けてくれた。


緊張してる私に、「人って書いて飲み混んで。」とか、「出来る出来るってイメージして打って。」

「絶対無二の一球なりって思って」


言われた通りにサーブをする。


決まった!!


先生に「絶対無二の一球なり」って意味分かって打ったと聞かれた。


「うん。無になって打った。」


皆に笑われた。


今なら、意味は分かるけど…。




そして、卒業まであと少しの時に、スポーツ少年団のお母さんと先生だけになった時に聞かれた事。


「お母さん好き?」


何でそんな事聞いてくるの?

私は嘘をついた。

「好きだよ。」そう答えた。


「先生の事は好き?」


「好き!大好き!大きくなったら先生と結婚する。」

そして私は先生に抱きついた。


コートで倒れて怪我をした時に大した事ないのに、すぐにおんぶして保健室まで連れて行ってくれたり、肩車してくれたり、笑顔で優しい先生が好きだった。



そしてお別れの時、またスポーツ少年団のお母さんに「お母さん好き?」

と聞かれた。


嘘の笑顔で「好きだよ。」

と答えたら、先生は立ち去ろうとした。



なんで!なんでよ!

私は正直に言った。

「お母さん嫌いだよ!」


先生は受け止めてくれた。

そして「また会いに行くから。」


そう言って笑顔でさよならした。



家に帰ったら、母に今日あった事は忘れなさいと言われ、

「忘れるって3回唱えて。」と言われた。


絶対に忘れないと思いながらも、すぐに忘れてしまう。



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