第5話いじめ①


中学1年生の頃、クラスにいじめられている子がいた。

美嘉ちゃんは大人しい性格の子だった。


ある日、トイレに行くと1つだけ誰か入っているのかドアが閉まっていた。

AちゃんとBちゃんがホースを持って

そこに水を掛けたり、クレンザーをふりかけている。


私は最初、何が起こってるのか分からなかったが、中に誰かいるのか気になった。

ドアをよじ登って上から中を覗いたら、美嘉ちゃんがビショビショになって白い粉で髪や制服が汚れている姿がみえた。


ふと、後ろを振り返ると2人の姿はもうなかった…。



美嘉ちゃんに「大丈夫?」と話掛けたが、大丈夫なわけがないだろう。


美嘉ちゃんは何も答えなかった。



私は、急いで教室に戻り美嘉ちゃんのジャージを持ってトイレに戻った。


「私以外に、今は誰もいないよ。ジャージ持ってきたから着替えて」


カチャ。

美嘉ちゃんはゆっくりドアを開けてくれた。


そして更衣室に移動して、美嘉ちゃんはジャージに着替えた。

何を話していいか分からなかった。


私は、汚れてしまったメガネを外している美嘉ちゃんに「メガネしなくても目が大きくて可愛いね。」


何を言ってるんだろう。


でも、そんな言葉に美嘉ちゃんは笑ってくれた。



別の日、トイレに行くとAとBがホースを持って、ドアの上から流している。


「何をしてるの?」

「そんな事しちゃいけないんだよ!」

勇気を出して言った。


AとBは、悪びれた様子もなく立ち去って行った。


「大丈夫?」

声を掛けても反応がない。


また、私はドアをよじ登って上から覗いた。

今度は別の友達だった…。


こんな事をAとBは笑いながらするなんて酷い!


すぐに教室に行って、友達のジャージを持ってトイレに戻った。


その日は更衣室に行って着替えた友達と談笑したりして1時間過ごした。



そして次の日、私はトイレに行く。

誰もいない。

トイレの中に入ると、ガタッ!

外で何か音がする。


んっっ!

えっ!冷たい……!!

上を見るとホースから水が流れてる。

あっという間にビショビショになった。

そして、クレンザーを上から掛けてきた。



しばらくして授業が始まったのか、

AとBはいなくなったと思い、鍵を開けた。


ガチャ!

あれ?ドアが開かない。

閉じ込められた私は、今度はトイレの中からよじ登って見た。

ドアが開かないように、掃除用のブラシが掛けられていた。


こんな事されても私は平気。

ドアの上から飛び降りて脱出した。


でも、このまま教室には行きたくない…


そう思っていたら、友達が心配そうにジャージを持って来てくれた。



「ありがとう。」

私はAとBにされた事よりも友達が来てくれた事の方が嬉しかった。




ただ、これがいじめの始まりだとは知らずに……。









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る