Int6.ねがい


「君の願いを叶えてあげよう」

 神さまは言いました。

 そんな気がしました。

 たぶん、誰もそんなことは言ってない。

 幻聴か妄想か。どちらにせよ、たちの悪い何かだということはわかった。

「君の願いを叶えてあげよう」

 うるせー、と呟いて瞼を閉じる。

「君の願いを叶えてあげよう」

 耳にも瞼つけておいて欲しかった。わがまま。よし、うるさい。

「君の」

「死ね!」

 なんとか袋の緒がぷっちんした。うるせーぞこのやろう。黙ることすらできねーのか。

 仕方がないのでぐさーっといった。黙った。瞼を閉じる。

 明日世界が滅んでいますよーに。

 自分の無欲を嗤いながら、強欲にそんなことを願った。

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