第12話


 気がつくと私はそこにいる。


 私は私の役割を知っていた。

 私はこれまでの全てを知っていた。

 だから、目の前のそっくりさんが一体誰なのかも、よく知っていた。

 もし次があるのなら、その時は笑おうと思っていた。

 それが果たせることの喜びがあって、同時にまた始まってしまったことに対する悲しみもあった。

 けれど、私はより良い感情を優先する。私にとって良いことは、彼女にとってもいいことのはずだから。


「あなたは死にました」

 私は言う。

「コンテニューしますか?」

 自分にできる最大限の笑顔で、やっぱりそう問いかける。

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ココロユウギ 鵠真紀 @amaharu0612

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