第3話


 気がつくと私はそこにいる。


「性懲りも無く、あなたは死にましたね」

 “私”が言った。

 呆れを通り越して微妙に罵倒された。気分は良くないが、別に悪くもなかった。

 当然の帰結だ。わかっていたことで、落胆はしない。

 なんとなく、地面を見た。無数の骸が転がっていた。

 それらはすべて、私だった。

「これまでのあなた。今までに死んだ”私”」

 “私”は言った。

 あちこちに節操なく転がる私は、糸の切れたマリオネットのようだった。

 あるいは、電池の切れたロボット。あるいは、魂の抜けた肉体かもしれない。

 そんなことを言った気もする。けれど、例えばなしはどうでもいい。

 私が殺したたくさんのいのち。たくさんのこころ。

 どれもこれも脱ぎ捨てて、切り替わっていく世界に追いつくように。

 切り捨て破り潰して乗り換えて乗り越えてきた。

 それでいい、それでいい。

 限界など、とうに超えている。

 さぁ、言えよ、“私”。

 その冷たい視線が愉快で堪らない。

 冷えた心に、ドライアイスをぶちまけて。

 露骨な軽蔑に火傷する。

 それでいい、それでいい。

 あなたはそれで、いいのです。

「……コンテニューしますか」

 あなたはまたそう言って。

 私は迷わず「イェス」と言う。

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