第7話バカ兄貴
引っ越してから半年くらい?
相変わらず貴方は金曜に私を呼び出し
水曜には泊っていってくれる
金曜に飲みすぎた日も泊ってくれる様になった
一緒に買い物をする時等は
コレ部屋に置きたいとか嬉しそうに言う
部屋の中には貴方がいっぱいで
一人の時も寂しくない
それなのに貴方は私に触れない
雑踏の中で引き寄せる手は
前以上に甘いのに
それ以上は何も無い
酔ったふりしてキスしようとしたら
それは新しい男としなって
新しいって何?今まで一人も居ないわよ
もう酔った勢いでも何でもいいから
初めてのキスくらいして欲しかった
そんないつもと同じ水曜の夜
何の連絡もなく突然やってきた兄
チャイムが鳴って出て貰ったら
玄関先で揉める声、そっと顔だけ覗いたら兄
貴方はバツが悪そうで、やっぱり私とじゃダメだったのかな
「よかったな初恋が報われて」
無邪気に喜ぶ兄、キョトンとする貴方
いたたまれない私
空気を読まない兄は喋りだす
私がずっと貴方一人を好きだったこと
貴方と進展したくて引っ越した事
あぁもう貴方は来てくれなくなるかしら
「ちょっと待て!他の男と住む為の部屋じゃないのか?振られたから俺は呼び出されたんじゃないのか?」
そんな風に思って今まで寄り添ってくれてたのね
そうじゃなきゃ居てくれんかったんだ
情けなくて惨めで、半ば逆切れで
「好きでもない男と1つのベットで寝たりしないわ!兄弟だとしても気持ち悪い!」
これで最後、思いっきりぶつけてやるわ
貴方が好きなのよ、傍に居て欲しいのは貴方だけ
私に触れるのも抱きしめるの、貴方以外にされたくない
兄に触られるのも嫌なくらいに
貴方だけを求めているのに
事態を把握したのか兄は消えていた
ずっとうつむいて叫んでいたから貴方の表情は分からない
貴方のつま先だけ見つめて、そこに居てくれていることを理解する
そのつま先が踵を返すであろうとわかっていても
言わずにはいられない
泣いてすがって、憐れんでくれてもいい
まだ傍に居て欲しい
つま先が近づいてきて、ふいに抱きしめられる
「なぁ触ってもいいのか?もういいんだよな?キスしてもその先も。俺、引っ越してきてもいい?ってか籍入れない?」
頭上から降ってくる甘い声、髪に触れる唇
「籍って早すぎるよ」
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