011 猫吸い 

 


 寝心地よりも先に、しっぽりと使い心地の方を確かめてしまったベッドの上。

 大きな出窓から差し込む、出所のよくわからない朝日に生物としてのまっとうな感覚を刺激され、自然と心地良く目覚めた、三度目の朝。

 私の腕の中には、立派な毛並みのユキヒョウが、昨日の朝までとなんら変わりない抱き枕ぬいぐるみのような顔で、すっぽりと潜り込んでいた。

「ゆえ……?」

 二人で寝てもゆったりと広いベッドの上に、イヴの姿は既にない。

 すぴすぴと寝息を立てる、ユキヒョウ姿のユエと二人きり。

 イヴ的にこれは浮気に入らないのか……と、起き抜けの頭で至極、どうでもいいことを考えながら。欲望のまま顔を押しつけた獣の毛並みは、春の陽だまりを思わせる、いい匂いがした。

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