2-2【学生生活 6:~”国”からの交渉人~】



「かゆい・・・かゆいよ・・・」


 部屋の中に怨嗟にも似た小さな声が木霊する。

 その声の主は、早朝にもかかわらずやつれて老け込み、いつも纏ってる謎の覇気は完全に消え失せていた。 

 そして3日前からずっと付けている、”赤い”ヘッドギアを恨めしい手つきで握りしめている。


「・・・昨日からずっと言ってるね」


 そんな姉貴分のだらしない姿を見ながら、モニカがベスに耳打ちする。


「よっぽどショックだったみたいですね・・・・」


 ベスの声にも悲痛なものが混じる。

 おそらくこんな姿は彼女も初めて見たのだろう。

 

「・・うう・・・かゆい・・・」


 その声の主ことルシエラは、念仏のようにそう呻き続けていた。


 なぜこのような事になっているか。

 それはスコット先生の”説明会”の行われた、3日前まで遡る。



 ルシエラは本来、”かなり”強力な魔法士である。

 それはここに来るまでの道中で知っていたが、さらにベスによると、一度も学年トップを譲ったことのない超優等生なんだそうだ。

 その実力はまだ高等部修了まで4年を残しているのにもかかわらず、高等部の最高学年の生徒と比較しても、ほぼ最上位に食い込めるほど凄いらしい。

 近くにいると分かりにくいが、学年を超えてその名が轟いていることからも、アクリラ基準であっても”規格外”の一人なのだ。


 そしてその最大の武器は、”加護”と呼ばれる強力な魔力適性。

 使えるのが青の魔力に限定される代わりに、とんでもない効率で魔力を使うことが出来るという代物である。

 ハッキリとはわからないが、周囲の扱い的に俺達の一つ格下の”軍位スキル”や、それと並ぶとされる”勇者”にも匹敵しうる印象すら受ける。


 だがその最大の武器は、俺達がアクリラにたどり着くための戦いの中で大きな傷を負ってしまった。

 勇者ブレイブゴーレムという、本物の”規格外”の強敵を相手するために、”加護”の力を最大限まで使ってしまったのだ。

 そして彼女は、その代償として全身の生体魔力網がズタズタに破壊され魔力が扱えなくなっている。

 その回復には1月を要し、それまでは僅かな魔力の使用も許されない”ドクターストップ”の状態が続いているのだ。


 だがそれでも3日前の休日に”中間検査”を受けに行くときまでは、ルシエラの様子は明るかった。

 見た目には回復の経過は良好であり、魔力を失って黒くなっていた彼女の髪も、薄っすらと青い光を取り戻しつつあったからだ。

 ルシエラ自身も「ひょっとすると一週間早く完治するかもね」などと軽口を叩いていたくらいである。

    

 ところが、突きつけられたのは”ドクターストップ”の一週間の延長。

 更にはこの謎のヘッドギアである。


「魔力、ちょっと使ったでしょ」

 とは検査を担当した医師の言葉だそうだ。

 どうやら、無意識に流していた魔力でダメージが深まっていたらしい。

 髪が青くなってたのも回復の兆候などではなく、単に無意識に魔力を流していたが故という始末。


「そりゃ使うでしょ! 蓋開ける時とか無意識に使うでしょ!!」


 そう叫ぶルシエラの目には涙が浮かんでいた。


「まあまあ、ルシエラ姉様、固い蓋は私かモニカ姉様に言えば開けますので」

「うん、どんな固い蓋でも開けてみせる」


 そう言ってベスがなだめに入り、モニカも続く。

 だが魔力は彼女のアイデンティティであり、心の拠り所でもある。

 授業でも苦労している話は聞いていた。


 だがそんな彼女に医者が差し出したのは、非情な手段。

 今、彼女の青い髪を押さえ込むように頭についている”赤いヘッドギア”だ。

 これは簡単に言えば、以前俺達を苦しめた”スキル殺しの高純度触媒”を医療用に強力にした物だ。

 その威力はスキルの発動どころか、魔力を使うための僅かな魔力信号すら遮断してしまうらしい。

 表面の赤い色でさえ、ルシエラの魔力を妨害するために塗られている念の入れようで、その様子から向こう医者達は完全にルシエラを信用していないことがハッキリ伝わってきた。

 そして悪いことに、このヘッドギア姿が同級生に”バカウケ”だったらしく・・・


 昨日帰宅した時点で、彼女の心はズタズタだったのだ。


「・・・かゆい」


 ルシエラが虚ろな目で再び呟く。

 ちなみに痒いのは治りかけの生体魔力網らしく、ルシエラいわく”体の内側が全てかゆい”とのことだ。

 その苦痛は推して知るべしである。

 検査までは希望に満ちていたので我慢できていたが、それが遠退いた今は耐えられないのだろう。

 俺達としてもその原因の一端が自分達にあるので、どうにかならないものかと考えている。


「・・・何かいいことあった?」


 ふと、ルシエラが少し恨めしげにこちらを見ながらそう言った。


「え? 特にないよ」

「いいや、絶対なんかある、嬉しそうだもん」


 そう言ってモニカの心を見透かそうと目を細める。


「ロン! 教えなさい!」


 イエッス! サー!! 


「昨日モニカに友達が出来たんだ」

「ロン!?」


 突然の俺の”暴露”にモニカが驚いて後ろを向く。

 後頭部のスピーカーに反応したんだろうが、そこに俺はいないよ。


「悪いなモニカ、俺は長いものには巻かれる主義なんだ」


 俺がそう言うと、モニカから衝撃が伝わってきた。


「なるほど・・・それで朝から嬉しそうなんだ」


 ルシエラの表情が面白そうに歪む。

 まるで苦痛を紛らわせるための”おもちゃ”を見つけたかのようだ。

 俺としてもこれで少しは気を紛らわしてくれれば、モニカを差し出した甲斐があるというもの。


「そのお友達って、どんな子?」

「えっと・・・友達っていうのかな・・・でも一緒に話してると楽しいっていうか・・・」


 そう言いながらモニカが僅かに顔を赤らめモジモジし、それを見たルシエラとベスが珍しいものを見たといった表情になった。


「そういうのを友達っていうのよ」

「どんな方ですの? モニカ姉様」


 ルシエラだけでなく、モニカの様子を見たベスも興味津々といった感じで聞いてきた。


「ねえねえ、どんな子よ? お姉さんに教えてよ」


 そしてルシエラがそう言いながら、グイグイ肘でつついてくる。

 姐さん、ちょっとオヤジ臭いっす・・・


「えっと・・・魔法陣の授業で一緒になった可愛い女の子」

「薄紫のでっかい芋虫だ」


 モニカの変に思わせぶりな言葉に俺が補足を入れる。

 するとルシエラの表情が僅かに真面目なものに変わる。

 

「”エクセレクタ種”か・・・」

「なにか問題あるか?」


 ルシエラに対し俺が対応を問う。


「ロン? メリダはいい子だよ?」

「いや、一応他種族と交流するにあたって、注意事項をだな・・・」


 なんだかんだいって、見た目からしてあれ程異なる存在だ。

 付き合うにあたって、完全に綺麗事だけで収まるとはとても考えられない。

 なので対応を誤れば相手も傷つくし、モニカだって心に傷を負いかねないだろう。

 俺はそんな意味も声に込めて、一番身近な年長者であるルシエラに対応を乞うているのだ。


「その子とはどれくらい頻繁に会うの?」

「今の所、魔法関係の実技は半分くらい一緒だと思う、だが課外で行く研究所が同じなんだ」

「それじゃ、ほぼ毎日顔を合わせるわね」


 そこでルシエラが考え込む。


「最初にできたモニカの友人だ、できれば俺も仲良くやってほしい」

「別に問題はないわ、ここはアクリラだもの、”何”と付き合っても文句は言われないわ」

「ほんとに?」


 ルシエラの言葉にモニカの表情が明るくなる。

 だが、


「だけど種族を超えた交流って、やっぱり大変よ、お互いに絶対に納得できない事はあるし、それは我慢しなければいけないわ。 その覚悟はある?」

  

 その言葉でモニカの心が引き締まるのを感じた。

 そしてそれはルシエラにも伝わる。


「その顔ができるなら、いい友達になれると思うわ」


 どうやらモニカの中でメリダと友達でいるための覚悟が固まったらしい。

 モニカはルシエラに対して静かにうなずき、それを見た俺達の姉貴分は安心したようにうなずき返した。


「じゃあ、この街で友達ができたときの注意を一つ教えておくわ」

「なに?」

「その子と仲がいいままでいたいなら、絶対に”食事”と”子供”の話はしては駄目」

「なんで?」

「自分がいかに”狭量”かってことを思い知らされるから」


 そう言ったルシエラの表情は手痛い失敗を悔いている者のものだった。

 なるほどな。

 人と虫、食べる物は間違いなく全く違う。

 そして子供というのは、おそらく”生殖”絡みの話だろう。

 昆虫の生殖なんて、間違いなく相容れない内容のはずだ。


「私もお友達に、”早く大人になりたい”って言ったことを少し後悔したことがあります。 

 その種族では”成体”になってから1日しか保たないんだそうで・・・」


 どうやらベスも経験があるらしい。

 言葉が通じるから同じだと思っても、そこはやはり全く理解できないこともあるのだろう。

 そしてこの街ではそれが当たり前で、相手も同じ悩みを抱えているのだ。


「それじゃ、もうそろそろ時間ね」


 急に騒がしくなった外に目線を送りながら、ルシエラがそう呟く。

 通学が始まったのだろう。

 朝のミーティングはこれで終了のようだ。


 そして俺達が出かける前の最後に確認を始めたときだった。



「『モニカ・シリバ、・・・ロン』」


 突然、部屋の中に厳粛な男性の声が響き渡り、俺達の手がそこで止まった。

 ゆっくりと部屋の中を見渡すが、モニカたち3人以外の人物の姿はどこにもない。

 だがこの声には聞き覚えがある。

 この存在そのものに語りかけてくるような声の人物は、俺の知る限りこの街には”一人”しかいない。

 

「アラン先生?」


 モニカがその者の名を呼ぶ。

 アラン・キルヒ・アクリラ。

 世界がこの街を守るための召喚した”白の精霊”であり、アクリラの3人の守護者のうちの一人。

 おそらくこの街で一番底が知れない存在であろう。


「『伝えたいことがある、中に入る許可を』」


 アラン先生がそう言うとベスが周囲を見ながら魔力で何かを行い、最後にルシエラを見て、ルシエラもそれに頷きで返す。


「許可します」


 ルシエラのその言葉と同時に、部屋の中を魔力が駆け抜け、何かが変わるのを感じた。

 おそらく何かの”ロック”が外れたのだろう。

 そしてその直後、部屋の中に白い光が現れ、それが人の形をとった直後に今度は圧迫感のような感覚に襲われた。


「『これでよい』」


 白く光る男性の姿のアラン先生がそう言うと、圧迫感が空間に定着するのを感じた。

 気がつけば外の喧騒が完全に聞こえなくなっている。

 おそらくこちらの音も外には漏れていないと思われる。


「先生、せめて扉から入ってもらえませんか?」


 ベスがちょっと気味悪げに、突然現れたアラン先生にクレームを入れた。

 

「『申し訳ないベスティ、急いでおった故に、失礼を承知で入らせてもらった』」


 そう言ってアラン先生がベスに頭を下げる。

 それにしてもこの”人”、ひょっとしてどこにでも現れることができるのだろうか?


「アラン先生、要件はなんですか?」


 ルシエラが真面目な表情でアラン先生に問いかけた。

 その姿は先程までの醜態が嘘のようにしっかりとしていて、頭に被ったヘッドギアすら謎のオーラを醸し出している。

 魔力が使えなくともその実力は小揺るぎもしないといわんばかりの迫力に、俺とモニカとベスが気圧されていると、アラン先生が口を開いた。


「『モニカとロンに知らせることがある』」


 そう言ってアラン先生が、何時になく真剣な眼差しでこちらを見つめた。

 その強烈な存在感で以って見つめられると、威圧されたわけでもないのに緊張してしまう。


「な・・・なんですか?」

「『マグヌスより”交渉人”がやってきおった・・・お前さん方に会いたいそうだ』」

「!?」


 ついに来たか。

 

 俺は心の中でそう呟き、意識を集中させる。

 

 この街に着いてから2週間と少し・・・

 何もなかったのでどこか安心していた自分がいる。

 だが相手から見れば俺達は存在するだけで繊細な政治問題なのだ。

 その存在を見逃してくれるわけがない。

 

「私も・・・会いたいです」


 モニカが決意を込めた瞳でアラン先生を見返す。


「わたし達が”生きちゃいけない”と言う人を、自分の目でちゃんと見たい」


 その言葉にはハッキリとした意思がこもっていた。

 だがその裏側で、モニカの心が大きく揺れていることに俺は気がついた。


「相手はどんな”奴”です? ”戦力”は?」

「『”交渉人”は貴族と実務を担当する商人の二人組、どちらも家柄は良いが戦闘能力はない。 ただし護衛は全員が”エリート”資格持ちの6人組だ』」

「ちょっとまて、それって危なくないか?」


 堪らず俺が異議を申し立てる。

 ”エリート”持ち6人っていえば、普通は戦争でも始める気かって戦力だ。

 するとベスが即座に賛同した。


「そうです! 危険ですよモニカ姉様!」

「『それは安心してよい、護衛の同席は3人までしか認めぬし、こちらも護衛を付ける』」

「誰ですか?」


 アラン先生の言葉にルシエラが鋭い声で聞き返す。


「『この件を知っているクワシとクレイトス、それとスコットが同席を求めておる。

 3人共そこらの”エリート”に遅れを取る者ではないし、そして何より・・・・この”私”がいる』」


 アラン先生がそれが答えとばかりに自信げに腕を組んだ。


「『このアラン・キルヒ・アクリラが居る限り、アクリラ内での全ての生徒の安全は保証されておる』」


 その言葉に対しルシエラが暫くアラン先生の様子を見つめ、やがて諦めたようにこちらを向き少々不満げに頷いた。

 俺達が直接会うのには反対だが、戦力としては”合格”ということであろう。


 補習の時にクワシ先生の力も知っているし、クレイトス先生は戦闘のプロだ。

 手負いのスコット先生でさえ、あの身のこなしからして足手まといにはなるまい。

 何より目の前のこの”精霊”がいれば、明らかに過剰戦力なのは間違いないだろう。

 そして、それは俺よりもモニカの方が理解している。


「自分の目で見たい」


 モニカがアラン先生に”結論”を告げる。

 するとアラン先生が頷いた。


「『では、今日の授業は無しだ』」





※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※




 アクリラの街外れにある小さな商館。

 その何処にでもありそうな質素な商館の、本当に何気ない少し広めの一室に、マグヌスから飛んできた”交渉人”達が留められていた。

 正式な手続きを踏んだ使者ではないために、街の中に入れてもらえるだけでも寛大だと考えねばならないが、それが善意からのものではない事は明白だった。


 先程から交渉人の護衛達が落ち着きなく過ごしていることからも、それは伝わってくる。

 彼等は”エリート”資格持ちの強力な兵士達。

 さらに、この部屋まで同行が許された3人の内1人はこの街で学んだ魔法士だ。

 だからここが、ただの部屋などではなく相手の”腹の中”だということを理解しているのだろう。

 そしてその緊張は、交渉人達の”名目上の頭目”にも伝播した。

 

 ルブルムの街中から出たことがない彼は、初めて見る”他の街”に明らかに浮足立っている。

 認識阻害の黒衣を身に付けたこの哀れな貴族は、ただの”飾り”だというのに己の重責と敵の巣の中という状況に恐怖していた。

 ここまでの”飛竜の旅”も悪い方に働いているかもしれない。


 だがその中にあって、”実際に”交渉を行う細身の男だけは、胡散臭気な不敵な笑みを崩さないでいた。

 彼にとってはこれは”望んだ状況”だ。

 罠の中、敵陣の中、相手の掌の中・・・彼にとってはどう呼ぼうが一緒だ。

 すべて彼の戦場。

 優れた交渉人にとっては、相手の心の中にいるだけで”優位”なのである。

 

 1つ気になるのは、相手もおそらく”交渉人”を立てるということ。

 ここはアクリラ、優秀な商人には事欠かない。

 優秀な商人、それすなわち優秀な交渉人である。

 だが彼はそれでも笑みを崩さない。

 相手の優秀な交渉人は敵ではない、むしろ最大の味方であることを知っているからだ。

 この街の交渉人が相手ならば、きっと大きく話が進むであろう。


 その時、部屋の扉がガチャリと開かれ、その音に部屋の中に居た者たちが反応する。


「皆様、長い間お待たせしてすまなかった」


 その言葉と共に数人の”人物”が部屋の中に入ってきた。 

 その陣容を見て兵士達は緊張の度合いを深め、”貴族の交渉人”は後ずさり、”本物の交渉人”が安堵の笑みを浮かべる


 先頭で挨拶したのは、予想通りよくある商人の格好をした中年の女性だった。

 心のこもっていない胡散臭い笑みに、見透かしたかのように余裕のある瞳。

 間違いなく手練れの”交渉人”である。 

 そしてその後ろから体格のいい狐耳の男に、服を着たクマ・・・それに老人のようにやつれた鋭い目の男が並んで入ってきた。

 ここに付いて来るというからには全員が1人で一軍に比する戦力だろう・・・つまりは気にするべき相手ではない。

 兵士達にとっては絶望的でも、優秀な商人にとっては”自分より力が強い存在”に差はないのだ。

 それよりも・・・


 ”本物の交渉人”が視線を、”護衛”に守られた相手の”本命”に向ける。

 おそらく彼等の意思決定を担当すると思われる”2人”。

 片方は”白の魔力精霊”。

 彼が噂の”アクリラの守護者”であろう。

 そしてその横に隠れるように一人の女の子が立っていた。

 聞いていたとおり、本当に小さな子供だ。

 緊張で震えているが、その目はこちらを喰い殺さんばかりに鋭い。

 だが本当に喰い殺そうとしない程度の理性はあるようだ。

 その子の姿は居並ぶ手練と比較すればあまりにも可愛らしく、それでいてその危険度はこの場にいる全員を足したものより遥かに大きい。


「あなたが噂のモニカさんですね、会えて嬉しいですよ」


 まずは最初の一手。 さてどう出る?

 すると先頭に居た商人の女性が、その子を隠すように視線を遮った。


「この場のやり取りは全て私とあなたを通して行います。 私以外に話しかけるのはご遠慮願いたい」


 偽物か・・・

 いや、遮ったのは向こうの視線、つまり本物か。


「これは失礼した。 でも挨拶はよろしいので?」

「我々は交渉をしに来たのであって、挨拶をしに来たわけではないでしょう?」


 なるほど・・・

 心の中で相手の選んだ”定石”を特定する。

 さすがアクリラの商人か、随分と分かりやすい”戦型”を選んだようだ。


「分かりました、それではまずこちらの要求をお伝えしましょう・・・」


 そして”本物の交渉人”もその”定石”に乗ることに決め、その”第一手”を言い放った。


「モニカ・シリバの、”即時の死”を求めます」

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る