流体

灰咲勇兎

流体

君は流れる体を持っている


まるで液体のようにするすると掌から抜け落ちる


笑顔すらも一瞬で流れさせる


誰も君の受け皿を作ることはできず


君はいつも独りで流れている


壊れた受け皿に寄り道しては


自分の雫をほんの少しだけ残していく


本当は覚えていてほしいことを知ってなお


一滴の自分しか救えないのだ


私は君の受け皿を完成させたい


歪で壊れているとしても


私は君を一瞬でも残らず受け止めたい


君はそれを望まないだろうか


私は君を忘れたくない


すり抜けていく君を眺めるだけの私は


液体にはなれない


棘を生やして君を守ろう


中を磨いて住んでもらおう


君の笑顔を失くさないうちに


流れる君を受け止めよう


それが不可能だとしても


私はそれでも

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流体 灰咲勇兎 @haisaki_isato

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