第6話 私が死んでも代わりはいるもの
それから院内は大騒ぎであったという…。
謎の外人が走り回った挙句、死んだ黒いパンティのJKがムクッと生き返ったのである。
目撃者(警備員Sさん45歳)の証言によると…ピンクのビキニを履いた日焼けしたボディビルダーは、屋上の柵を乗り越えて空へと走り去ったという。
HAHAHAHAHA~と笑いながら…。
警備員Sさん45歳は、明日から休職するらしい。
佐藤(黒パンティ)ナミさん16歳は、キリストばり復活という奇跡を起こしたわけだが、特に聖人認定はされないまま、翌日退院?した。
検査もろもろに1日要したが、特に問題はなかったらしい。
「だっから言ってんじゃん、アタシ丈夫だし」
「はっ?死後硬直?風呂上りにストレッチすっから大丈夫だし」
とりあえず、リハビリ兼ねて歩いて帰宅するこにしたナミ、なんか関節がギクシャクするような気もするが、まぁ大丈夫そうである。
その日は、入浴剤ボブで血流を良くして、ストレッチして早めに寝た。
正直なところ、復活祭とか期待していたわけだが、パパもママも葬儀の中止やら親戚への対応やらでそれどころではなかったので、夕食もレンチンの炒飯で済ませるという、なんか生きててすいません的な肩身の狭さを感じつつ、黒いパンティを洗濯するナミ、死ぬって色々漏れるんだな~と思ったそうな…。
翌日、3日遅れで高校デビューを飾ったナミ。
「ちょっとした事情で入学式には間に合いませんでしたが…」
担任の前フリでクラスがざわつくホームルームを経て、しっかりオカルトデビューを果たしたナミ、あからさまに腫物扱いされて今日のグレーのパンティのような心模様、思い描いた高校デビューを飾り損ねて、少々気が立っている放課後。
「ねぇ、あの子でしょ?死んだの」
(生きてっし!!)
「おい、ゾンビだぜ」
(腐ってねェし!!)
なんかもうひと暴れしたいような気分である。
「あの、お話だけでも…お時間よろしいですか?」
(えっ?告白キター!!)
「はい♪」
メガネのペタッとした頭髪のヒョロガリが立っていた。
「ちょっと…LVが違い過ぎるというか…アナタはまだゾーマに挑めないというか…装備だけじゃ埋めきれないものを感じるんですけどーなにか?」
笑顔で振りむいて、語尾がキツくなると同時に眉間にシワ寄せ睨みつけていたナミ。
「あの…オカルト研究会に入ってくれませんか?」
「オカルト…」
「アナタこそ、オカ研のビーナスだ!!」
「ビーナス…オカルトの?」
「はい!! ぜひ!! その臨死体験を研究させてください」
「ナニがオカ研の女神じゃ!! アタシは貞子さんじゃねぇし!!」
ヒョロガリの胸ぐら掴んで凄むナミ。
(研究心強い奴にロクなヤツいねェ…)
見上げた春の夕空に、テヘペロしているキリコの姿が浮かんでいた。
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