第6話 今日からここが私の部屋ですか?

部屋を手に入れました!

ここの家族は良い家族です。

こんな私のために一つの部屋を用意してくれるなんて!


さあ部屋ですることと言ったらひとつですね。

おやすみなさい。私はここで寝てしまいますよ。

おこさないでくださいね。


……寝られません。

家の中まで石でできているんですね。

丸まってみたけれど、体が冷えて堪りません。

どうしましょう。


ああ、でもジッとしているとさすがに周りの石も温まってきたかな?

寝られるかな?

あっいけそう。体温で温まった石は存外に心地が良いかもしれない。


ところで先ほどからずっと意識の外に

置いていたけれど、向こうに誰か立っていますね。

部屋の入り口からずっとこちらに向けて視線を

投げているのは何か理由があるのでしょうか。

部屋に扉を付けるという習慣が無いようですねこの家族は。

起きなきゃダメ?


部屋の中に入ってこないあたりは礼儀を護って気を使っているのでしょう。

応じなければ不義でしょうか?怠慢ですか?怠慢はいけない。

起きましょう。それしか選択肢はないのです。


何ですか、何の用ですか。

何か先導してくれるようなのでついて行ってみましょう。


一階には大きなテーブルとイスが並んだ部屋大きなが一つとあといくつかの中くらいの部屋がいくつかあるようです。用途はさっぱりわかりません。

どうやらこれは案内されているようですね。

身長も此方が見下ろしてしまうくらいに小さいくせにしっかり者だと思いました。


最後に案内されたのは、この家に一番最初に入ってきた方向とは反対側の位置に

ある出入口の外に出たところにある裏庭?でした。


ここは、ゴミ捨て場なのでしょうか?興味深いものが沢山転がっています。

あれは加工がしやすそうな鉄くず

あれは水と混ぜて加工すれば隙間を埋めれそうな良い土

……あれは、炉?でしょうか。

燃料に点火して空気を送り込めば、熱による圧力差で空気の排気と吸気の循環が自然に促されて高温が維持されるという機構だろう


ところで布とかないんですかね。

なさそうですね。


これは…紙束?張り合わせて形を作れば衣服になるのでは?

さっそく譲っていただくように交渉をしましょうか。

あっでもあれが無い……でんぷん質


ありがとう小さい子。貴方のおかげで光明が見えました。

自分の手で必要なものを作っていくのが道と言うものなのです。

私は私のためにやるべきことをやり始めるのです。

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