‐2.街の中の少女‐

少女の視点

第5話 今日からここが私のお家ですか?

手を引かれ、追い立てるようにつっつかれながら案内されたのは、

一軒の家の前だった。

――石造り、周りの家は隙間なく並んでいてどこからどこまでが一軒なのか

すこしわかりにくいけれど、わたしには一目でわかった。

この家は……一般的な、普通の、中流家庭の、そんなに儲かってはいないけれど、

そこそこの生活を維持できて、一世帯を養っても少しくらいは余裕があるくらいの

……そんな感じのお家ね!


家の前に並んでいる彼らの仲間、背の高いのが2つ背の小さいのが2つ

もっと小さいのが一つ

なんとなく彼らの顔の見分けがつくようになってきた。

これは家族なのだ。


一つの家族があちら側、私がこちら側。正面に向かい合ってしまった。

沈黙が流れる。


先に動いたのはあちらだった。

ペコリとお辞儀の姿勢。背の高い方が先にぺこり。続いて小さい方がペコリ。

こちらもすかさずペコリ。

礼儀は大事。


小さな歓声が起こった。

どうやら祝福されているらしい。よかったね私。

何が良かったのかさっぱりわからないけれど。


この後始まるのは、きっとご馳走がでてくる祝宴会にちがいない。

暖かい衣服をきて皆で火を囲んで団欒するんだ。


……そんなことはなかったね。

けれど、たぶんこれは温かみのある家庭なのだろう。

それなりの歓待を受けている気がする。

小さな椅子の座り心地は、それなりにやわらかい感じで悪くなかった。

楽しさに思わず自然と笑みも零れます。


ところでご飯はまだですか?

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