第4話 動きを追う…理解できそう?
どうやら2つの動くものが時々おなじ所で止まっているのは、
顔を合わせて会話をしているらしい。
らしい、というのは。
つまり言葉がまだよくわからない。
私の意識はこんなにも饒舌なのに、彼らの意識がどのような言葉でものを考えているのかがまったく、さっぱり、わからない。
かたい、つめたい、あつい、これはわかる。
なのに、彼らの言葉がわからない。
私の言葉の元になる私の意識の元はいったいどこから来たのだろう。
もしかして、私は彼らに造られたもので…だとしたら彼らは私のカミサマですか?
おお、カミよ。さしあたっては食料と衣服を与え給えー
小さなお家も欲しいかな。暖かい日の光のしたで毎日穏やかに暮らすんだ。
愛玩動物なんかを飼っちゃったりして?
どうせなら食べられる動物がいいかなあ。ヤギ?ヤギね!ヤギじゃない!?
いや、ヤギではない…羊の方が良い。ペンギンとか暖かいところで飼えるのかしら?
動物を飼うのなら広い平原と綺麗な小川も必要かな。
わたしが産み、わたしが育て、わたしが賜るのだ。
まずは原資をカミに求めたい。
さあ!はやく!はやく!
…こないわ。
これは神話体系から構築し直して召喚術式を再設計する必要がある。
なるべく私にやさしい神話がいい。
真面目にこの世界から恩恵を得る方法を考えているのだ。
ふざけてないです。
そうしていると、彼らの一人が私の前で立ち止まった。
これは…私に話しかけているのでしょうか?
それともじっと見ているだけ?
後者だったら嫌だなあ…考えないでおこう。
なので、こちらもじっと顔?を見つめてみる。
えっ?なに?この部屋から出るの?お外さむくない?
階段?昇るの?はいはい。ああ、ここ地下だったのね。
外は暖かい日の光がある世界だった。
「やっぱり世界には太陽だよね」
――私の神話体系を造るときには太陽の逸話を挿れようと思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます