恋のオノマトペ?(原著:雨天荒さん)
「まっつぐ行ってシュッと左に入ってふわっと進めばドンとあるのがソレ」
ボーッと歩いていたらガッと目の前に立たれたおっさんにグーッと詰め寄られるような感じで道を尋ねられた。
ハッとして、わーっと答えたものの、そんな場所、パッとは思い出せやしない。
大体、今の僕は、ソレどころじゃぁない。
朝からずーっと考え想い悩んでいる。
もう、グッと堪えたこの
――ッ痛ぅ。
目頭に、痛い程の夏の日差しがシャッと射し込む。
じりじりと照りつけるソレにじわりと汗ばみ、
じくじくと心は痛み、時間を追う度、自重出来ず自虐的。
今日の僕はヒリヒリと痛々しく、しかし、
スマホの画面にポテポテと指を当て、想いをガツンと打ち込む。
手紙――
メールやLINE、そんなゆるゆるした類じゃない。
――告白。
彼女とのふわっとした友達付き合いは、今日でピタリとお終いにする。
彼女がさらりと到着するまで、まだ、ちょろっと時間があるだろう、そうだろう。
僕はがむしゃらに、ぐりぐりと画面に書き殴る、ぐだぐだと
できた。
すらりと書けた。
よし、送信――
――ぽちっ!
、とな。
…――なぜ、何故、君は綺麗なの?
その
僕は
恋の
――なぜ、何故、君は<好きだ>と言ってくれないの?
届かぬ想いが夏空に
君は
恋のオノマトペが、只、駆け抜けるだけ――
君の気持ちを待っても、
どんなに待っても、
君は今日も、、、
君は気紛れ、僕を拐わせるだけ。
恋のオノマトペが、只、駆け抜けるだけ――…
――どうだッ!
心臓バクバク、血脈ドクドク、体はガクブル、顔はカーッと、恵美からの返信を、反応を、答えをじっと待つ。
みょこん――
――!?
来たッ!
返事がきた。
がばっと即行、画面を覗く。
どうだッ!?
めぐみ>なにコレ?酔っ払ってるの?w
――ッドギャーーース!
全ッ然ッ、届いてねぇー!
いや、IMはちゃっちゃっと届いてるんだが、気持ちがまーったく届いてねぇー、何一つピンと来てねぇーわ、コレ!
ぬぬぬぬっ。
「――あのさぁ…」
僕は落ち着き払った声で、ぐるぐる、もぞもぞ、ぽかぽかな空の下、言いようのない感情を吐露した――
――しょうがない。
逢ったら直接、ドカンと告白しよう。
鈍感な彼女には、ソレがいい。
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