第9部 生まれて

「やあ、おはよう。いや始めまして、かな」


 目を開けるとそこには白衣を着た人が。

 性別は女。


「聞こえている」

『はい。聞こえてます』

「そっか、会話に問題はない」

『問題は見当たりません』

「それはよかった」


 彼女は喜んでいる?

 しかし、喜ぶということがわからない。


「それで、サニー」

『サニー、とは?』

「ああ、君の名前だ。サニー」

『名前、自分の・・・・・・了解しました。名前、サニー登録しました』

「それで、私の名前は初明はつめいだ」

『発明。登録しました』

「私ははサニー、君の生みの親である」

『それでは発明様と呼ばれたほうがいいのでしょうか』

「それは君の自由にしたまえ、名前の呼びまで決めようとは思ってない」

『わかりました。これから発明様と呼ばせていただきます』

「ああ、よろしくサニー」


 笑った。

 彼女は笑った。

 笑うということは喜ぶということなのだろうか。


『それでは発明様、自分は何をおこなえばよろしいのでしょうか』

「なにもしなくていい」

『それでは自分はなんのために作ったのでしょうか』

「それは、サニーが自分で見つけるといい」

『自分で、ですか』

「ああ、なんでも答えを聞き出すな。自分で調べろ」

『調べる方法がわかりません』

「調べる方法よりも君には別のことを知ってもらう」

『なんでしょう』

「自分を知って欲しい。君を生み出した者がどんな人か分かってほしい」

『わかりました』

「そっか、わかってくれたか」


 彼女は笑った。


「よし、サニーまずは何を知りたい」

『そうですね、発明様の生まれを知りたいです』

「いいだろう。私は――」


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