第7部 剣道部

 重い……。


 この一言で始まり、終わる。


 暑い……。


 気温も体温も暑い。

 これは防具を着ていたらの感想。だけど今日は防具無しで練習が始まる。


「素振り開始」


 先輩から号令がかかり部員一同は竹刀を握り数を声だして振る。


「「1、2、3」」


 竹刀を振るのは腕に力をつけるのもあるが、竹刀に慣れるのもある。

 しかし、新入部員は50を越えた辺りで声が小さくなる。


「あと50!一年声小さくなってるよ」


 残り50竹刀を降り続ける。


「「48、49、50!」」

「十分休憩」


 一同は座り込みその場で一息つく。

 シンドイ。

 腕はプルプル振るえている。


「大丈夫」

「あ……はい」


 声を出すのも辛い。


「そんなに、剣道したかったの」

「……うん」


 今はその剣道を始めた自分を殴りたい。

 本当に辛い。


「さあ、休憩終わりだよ」


 自分から離れて元気にまた竹刀を握る。

 なんであんなに元気なんだ。


「さあ、今日は少し試合してみようか」


 部長の提案でランダムに選ばれた部員で試合することになった。


 + + + + + + + + + +


 しかし、ランダムで試合相手が選ばれるため、1年生同士や1年や3年同士の試合などが行われるため力がある者と無い者の差が歴然だった。


「部長、私は試合したい人がいます」

「お、誰かな」

「それはあの人、1年生の若林 一葉わかばやし ひとは


 え、なに、なんであの人自分を指さしているの。

 え、怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。


「さあ、試合を始めよう一葉ちゃん」

「わかりましたよ、和葉かずは姉」


 結局自分はあなたと戦わないといけないのですね。

 お互い竹刀と防具を身につける。

 前を見れば和葉姉がいる。これから戦う相手。


「さあ、とことん遊ぼう」

「受けて立つよ、自分が」






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