第4話

売店では思っていたよりもたくさんのものが売っていた。「あれにしようかな?」「これ食べてみない?」など様々な若い女性の声が聞こえてくる。多分ナースの数人だろう。

「さて、何にする?」

「えっ?」

「食べるもの決めて。」

「なんでです?」

「私が奢るから。」

「そんなの、わるいですから・・・」

「いいですよ。」と言おうとしたら

近藤さんは食い込み気味に

「いいから。」

「いいからじゃ・・・」

「早く選んで。」

「・・・どうしようかな。」

「最終的に奢ってもらうのね!?」

「いいんですよね?」

「・・・」

近藤さんは財布の中を確認して

「・・・まぁいいわ。」

「そんな顔されたら奢ってもらうなんて、できないですよ・・・。」

「ごめんね、お金をおろすのわすれてたのよ。」

「別にいいですって・・・」

俺は未だに落ち込んでいた。さっきの患者さんは近藤さんがフォローしてくれなければ俺は患者を殺していた。

「はい、これ。」

いつの間にかに近藤さんは俺の分まで買っていた。

「食べたらひたすら練習するよ。」

「は、はい!」

ようやく医者らしいことができる。たくさんの人を助けることができるかもしれない。

俺はそう思っていた。

しかし、最初に行ったのはワクチン注射の練習だった。

「・・・これですか?」

「うん。」

「マジですか・・・?」

「うん。」

「本当にやるんですか?」

「うん。」

「これって大抵医者がやりますっけ?」

「うちの病院はね。」

「人雇えばいいのに・・・」

「こんな変な病院に来る看護師なんていないのよ〜」

「もしかして・・・」

――俺が医師免許と看護師免許持ってたからなんじゃね?

それを察したのか近藤さんは

「そうに決まってるじゃない。」

――やっぱり。

「なんで分けないんですか?」

「私はよくわかんないけど、人が少ない方が人件費が浮くからじゃない?」

「労働基準法で捕まりません?」

「時間は守ってるし・・・」

「他にもありますよね?」

「じゃあ何がある?」

「えっと・・・」

――分かるわけないじゃん!下っ端医師だぞ!

「私も分かんないけどさ。」

「分かんないなら質問しないでください!」

「君もわかんないんだね・・・」

急に怖い顔になった。いや、何かに対しての後悔や怒りのような顔か。

「この病院が私たちの実験施設だってこと。」

私はその嘘にノってみることにした。

「知ってますよ?」

「ホントに!?」

「なんで驚くんですか?」

「いや・・・」

めちゃくちゃ焦っている。このあとの展開をどうしようか迷っている。

「君が知っている情報を教えてもらえる?」

――そう来たか。

「人体実験してるんですよね?」

「他には?」

「分かるわけないですよ?」

「なんで?」

「質問に質問で返さないでくれませんか?」

「とりあえず、練習しなさい。」

「・・・はい。」

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