第11話 『琥珀と蓮 ⑥』
姿は見えずとも、
「それで、問題って」
『ええ……』
特に、蓮の母親が、彼の行動にカンカンに
問題は、その母親が
ただ、公言している部分から外れている様子は無く、望まない
『琥珀さんへの
「そんなことになってるなんて……」
琥珀
『関わらなければ
「……そういえば、大学って」
『一応、まだ通えているようですが、この様子では時間の問題でしょう』
お金を出しているのが
どうすれば良いか。
『それで、どうやら、まだ神社の外には出られないようなので、誰か協力者を……』
パッと思いつくのは
あるいは、父親の真だろうか。しかし、
ぐるぐると考えを
『結ちゃん?』
「あっ、はい!」
『明日、また聞いてもいいですか?』
「……はい、私も考えてみます」
お
忘れかけていたけれど、えにしさまと交流できること自体が不思議なことだと、改めて思い知らされた。
少しどきどきする心を
「……どうしたの?」
「ちょっと、今日の報告してきた」
「ん。その前に、一声、かけてね」
先に自宅に
それに答えると、彼は
夕食を終えると、創が
「……
「家のこと、だよね」
「うん。どちらの家も、協力を得るのが、難しい」
コーヒーを口につけた創が、一息つく。
琥珀の家はそもそも同性
彼らふたりの生活そのものは問題ないものの、ミュージシャンとしてデビューするために努力していた彼らの夢が
それに、特に蓮の家が今していることは、放っておけばきっと
出来ればそれだけでも
しかし、他人である結
「……タイミングは、あるけど。どう転ぶか」
「え?」
「ライブの場に、両親が、来るかもしれない」
例えば、学園祭や定期ライブ、あるいはセッションの場に出て、そこに彼らの家族がやってくることは十分にあり得る。
「……出来るなら、きょうだいがいたら。仲間でも、いい」
創が考えていたのは、近い世代の協力だった。
次の休日。
急な連絡で創を連れて行くと伝えると2人は
「結ちゃん、久しぶり」
会場の前で、琥珀が
ハイタッチをすると、琥珀が創にお
「創さんも、来て下さってありがとうございます」
「うん」
「新人ライブなんで、まだまだですけど」
「うん、どんな演奏するのか、聞いてみたい」
琥珀が少し照れるのを、2人で
行きましょうか、と会場の教室へと向かった。
暖色系の照明で照らされた、ジャズカフェの出し物、という形だ。
蓮はホール側の仕切りを任されているようで、合間にこちらに手を
席に案内された2人と話す琥珀の隣に、蓮も来た。
「お
「ふふ、良い
「ありがとうございます」
ホールのセッティングも、
「2人がお世話になってます。
「森宮
もう1人、少し
創が
「結ちゃんは、この間のお
最後は辺りを気にしながら、声を
「こうと思ったらアグレッシブになるので、もう『この2人だからしょうがないし、音楽には関係ない』ってことで、何となく
「うん……何だか、親友よりすごい、という感じ」
「あはは、ですね」
そう言うと、ふたりを仕事に
「……えっと、お兄さんがいらした理由って。最近のこと、ですか」
「……そう、だね」
どうやら、悟史はふたりから相談を受けていたらしい。
創の方を見て、一言。
「もし、2人の
どうすればよいか、と言外に問いかけていた。
創が、結と顔を見合わせる。
「……2人に、ソロは」
「ええと、三曲あります」
「――分かった。そこまで持たせよう」
それまでは、のんびりとコーヒーを飲みながら過ごした。
にわかにホールがざわつき始めたのは、
蓮の母親も
「……来たね」
創と結の表情が
悟史に目配せすると、あちらも「
悟史を中心に「どうしようか」と作戦は練ってあったらしく、それに乗っかる形にすることにした。
「それでは、1年生サックス隊のトップデュオ、堂
いよいよ始まった。
ホールの仲間
1曲目はカフェに合わせた
2人ともリラックスした様子で演奏を終えた。
その時。
「この親不孝者!!」
ざわつくフロア。ガードされた2人は念のため裏へ
「…………」
楽器を下ろして
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