第10話『琥珀と蓮 ⑤』
「
言葉を選びながら、
「周りから、『こうあって
その言葉に、結と
「多分、それに
創から見ると、誠実であり、空気の読める青年でもあり、さらに良い子であろうとする。
結から受けた
「蓮」
「っ……はい」
蓮は創の問いかけに
「蓮は、琥珀への気持ちは、変わらない?」
すぐに何かを言いかけて、
また言葉を選んだ後、口に出す。
「……その、はずです」
言葉からも、
「これは、君を理解するための、質問なんだけど」
創が蓮に語りかける。
「理想を求めるなら、蓮はどう受け止めて欲しい?」
「それは……」
「もし、相手が
何度か、言いかけるのを
結も、創も、静かに答えを待つ。
「……
「ん。
ぴっ、と創の人差し指が琥珀に向けられる。
「えっ」
「……良い感じの、
「あ、は、はいっ」
琥珀が少し考えた後。
「『当たり前として受け入れられる』と、『変わってるくらいで気に
「……」
むず、と蓮の心が
「……『変わってるくらいで』――ううん。だったら、『当たり前として受け入れられる』方が良いです」
ふと見ると、蓮が琥珀の手を
「あ、でも。『気をつけるところがある』くらいで」
「
「……はい。こうやって聞いて頂けてるのは、心強いです」
大人しい
「家族のことも心配ですけど、いま顔向けできる訳じゃないので」
喜びを前面にだすタイプではない蓮の表情が、また少し
「……まあ、それは後から考えよう」
「んーと……はい、そうですね」
「何だかんだ、蓮が色々、進められそうだから」
創がコーヒーを口に
一息ついて、創が
「知らないことを自覚するのは、大変だからね」
「はい……。きっと、僕も『あり得ない』って目をつむること、あるはずですし」
「でも、答えは、身近な人が、持ってるから」
チラリと、創が琥珀に目をやる。
小動物のように固まった後、ポンポンと蓮の手の
むず
「……そうですよね、琥珀のおかげで、
少し、蓮の表情に
創自身も、この
それは、
理解できなくとも、知っておかなければいけないことがある。
そう考えて、優樹に色々聞いてみた。もちろん、花火にも。
そうすると、
そこに、同性だからという考え方はない。家族として一緒になりたいからこそ、選んだのだ、と。
特に優樹は、それまで気にしていたかった花火が
新しいことを理解するのは難しいけれど、向き合うことで変わることもある。
「何だか、ずっと言えなかったことが言えて良かったです」
「それは、何より。僕も、勉強に、なった」
琥珀のはにかみ顔が、皆にはとても
少し西日が差すファミレスの
「ねえ」
結が問う。
琥珀と蓮がこちらを向く。
「やっぱり、ふたりだから幸せそう」
ああ、
結が言外にそう
創も、手を止めてそれを見つめる。
優樹は、花火にショッピングへ連れて行かれたそうだ。
私服に
花火は、「ボーイッシュも捨てがたいけど、ガーリーもいいよね」と言っていた。
「……琥珀、ありがとう」
「うん」
会計を済ませ、2人とは別方向へと帰ることになった。
帰り道を、夕日が
神社へ戻ると、創は手短に
「……あれ?」
いや、目の前にいる。なのに見えない。
『結ちゃん。……聞こえてたら良いけど』
「あ……」
居る。そして、きっとこれは私だけだ、と結は理解した。
『……えにしさま?』
「あっ……! 良かった、聞こえてた!」
声色からも、きっと
「あ、あの」
『ごめんなさい、驚かせて。でも、どうしてもお話がしたくて』
「その……お話って」
『ああ、その、実はほんの
『琥珀さんと蓮さんの周囲、思ったより深刻そうなんです』
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