第6話 『森宮 結 ①』
あれ以降、
「わぁ……!」
2人に招待された、新人発表会で
「すごかった!」
「ふふっ、ありがとう」
「結ちゃんが居てくれて、心強かったよ」
自然と
一方で、気になるのはひそひそ話。
「男同士でしょ?」
「やだ、気持ち悪い」
その声に、結も思わず
「……えっと」
「気にしなくて良いよ」
「自分たちで決めたことだから」
そう2人は言ってくれた。
それゆえ、余計に申し訳なくなる。
しかし、そこでふと気づいた。
『2人が言ってるから、それで良いんじゃないの?』
「幸せ」とは、
「……もっともっと、
2人も、こちらに
「良いって返事したけど、いっつもひっつくのやめなさい!」
「いだだだだ優樹さーん」
変わって、
「結ちゃん、写真
――カシャ。
「ありがとー」
にかーっと笑う花火の笑顔は、こちらも思わず笑顔にする。
「優樹さんとのしゃしーん、おっと」
「ったくもう、気をつけなさい」
くるくる回って転びそうだった花火を、優樹が受け止める。にひひ、と笑う花火。仕方なさそうに
何だかんだで、優樹の気分も悪くなさそうだ。
「花火、何か食べてく? たぶんカステラがあったはず」
「食べるー!」
優樹が思い出したように言うと、花火と共に自宅へと消えていった。掃除していたゴミは、後から出てきた
創と自宅に
あの一件以降、お
創と結もその席に
「花火って、危なっかしいと思わない?」
その創も、一呼吸置いた後、うなずく。
「えー? 花火ちゃんは健全ですー」
ぶすっと
もっとも、いちゃいちゃしているのは、互いに
「……落ち着き、ないのは、直そう」
「えー?」
一言だけ
創はその中で、流海を見て微笑んで。
「……良かった」
また、創がぽつりと呟く。
優樹とケンカが続くことも良くはないと思っていたし、流海の不安も解消されたからだ。
それで改めて、幸せをかみしめた。
一方、継はというと。
「
「あはは……」
いつものハグの相手が桃子に集中するようになったというのが変わったところだろうか。これには桃子も『
ただ、継が見た夢の通り、旅行に少しずつ出かけ始めているらしい。桃子も喜んで
「結ちゃんのおかげかな」
桃子がそう言ってくれた。
「結ちゃんのおかげで、結ばれ始めたって人、多いらしいし」
「そ、そうですかね」
しかし、確かに思い当たる節が増えたかもしれない。
現に、周囲にそういう人が増えたのだから。
和樹のことも気になるが、少しずつ進展していくだろうと思いながら。
もちろん、幸せそうな人を見るのは嬉しい。
それでも、『神様じゃなくて巫女がそういう力があって良いのか』とも思い始めている。
少し引っかかりを残しながら、結は日々を過ごしている。
和樹と真里の関係は変わらず。
幼なじみ同士の
「良いから使いなさい」
「まだ
ちなみに、これはスマホゲームでの会話。
アイテムひとつ使うのにも
そのほかの面々と同じく、真里も森宮家の自宅に上がることも多い。当然家族とも顔なじみで、その関係にとやかく言われることも少ない。
そして、2人の関係を改めて書くなら、
だからこそ、両親もあまり心配はしていない。
「んー、じゃあ、ここで使うか」
「で、特技ゲージがたまったからそこで使えば楽じゃない?」
「だな」
そんな風に、2人の関係は続いていく。
結はどうだろうか。
まだちゃんとした自覚はない。しかし、ぼんやりと『女の子の方が好き』という気持ちがある。
「花火さん」
「んー?」
そのため、優樹や花火に話を聞こうとすることが多い。
それでも。
「私は、『なんか女の子を好きになっちゃったけど、まあいいか』って感じで過ごしてるからね。『自分のなかで当たり前だ』って思うのが大切じゃないかな」
普段いい加減な花火から、そんな真面目な話も聞けた。一方で、『じゃあ、私は誰が好きなんだろう』と、結は
『そもそも恋とは何だろう』という疑問がついて回る。
ぐるぐると考えを巡らせても、何も分からない。
だからこそ、『もっと周りの人達に目を向けてみよう』と思うことにした。
性別は関係無く、そもそも『恋』とは、と。
結の変わった『恋』が芽生えるのは、まだ少し先の話。
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