第2話 『森宮優樹 ①』
「
「一気に人が来ましたものね」
と、結とえにしさまとの
父親の真は「
「……あ、琥珀さん達からだ」
メッセージアプリで琥珀達ともやりとりするようになり、感謝とともに、周囲の変化を教えてくれる。
そして、
「私はどうなんだろう……」
同性カップルから、様々な話を聞くようにもなった。
琥珀達と同様に、周囲の変化に苦しんでいる人達も多くいた。
それに比べて自分はどうだろうか、と結は考えを
「結、ゴミ
「ありがとー」
サバサバしていて、大分ガサツな性格。物言いははっきりしているのが、森宮優樹という女性だ。
そして、結が気になること。
「(……胸、あんなに大きくなれるかな)」
結はまだ13
「片付け、手伝うわよ」
「うん」
そんな優樹にも、苦手な相手が居る。
「優樹さーん」
げ、と優樹が言う。
「優樹さーん、今度
「遊ぶのはいいけど、む、胸を
スキンシップと
結も、思わず苦笑いしながらそれを
「結も止めてー!」
花火は、数年前からここに遊びに来ては、そこで
「だーっ、もう、
「やーだー」
花火がしつこく離れず数分間の
さすがに見ていられなくなってきた結が
「ちぇー、優樹さんのいじわるー。じゃあ結ちゃんを
言うなり、ひょい、と花火が結をお
「ひゃああっ!?」
「あーんーたーねー!!」
優樹がずかずかと近づいて、さっと
「あいだだだだだ!」
優樹が花火の耳をこれでもかと引っ張り、花火が思わず
「いい加減にしなさい」
「は、はーい……」
優樹は少し乱暴なところもあるが、家族思いでもある。
そんな優樹を、結も
「じゃあ、代わりに!」
そう言って結の手を
「そんなことしても何にも出ないわよ」
「
結は『確かに少し噂になってたけど』と学校でも
しばらくして、花火は満足そうに手を離して。
「じゃあおじゃま虫は退散しまーす」
「さっさと帰った帰った」
『ったくもう』と、ため息をつく優樹だった。
あの日以来、優樹の様子がおかしい。
「……ご飯いいや」
毎日食欲がなさそうで、家族みんなが心配そうにしている。特別元気がないというよりは、どこかぼーっとしている感じだ。
ふと、琥珀達のことを思い出す。結と握手した人達が、何かしらの形で結ばれているような気がする。
一方で、学校など外では特に何か起こった様子がない。
「……?」
結は首をかしげた。
何か理由があるのだろうか、と。
優樹は『女の子には特別興味はないかな』とか、『イケメンと
その食事の後、優樹の部屋を訪れた。
「なあに?」
「なんか、
「……何でも無い」
優樹はそれっきり『そっとして』と聞いてくれなかった。ますます分からない。
「どうしてですか?」
結は、優樹のことをえにしさまに交換日記で問いかける。
「花火さん、優樹さんにドキドキしているのが伝わってきていました」
確かに、目をキラキラさせて優樹に近づいてきたというのは覚えている。
それが、まさか、女の子同士だなんて。
「それは、琥珀さんたちみたいに?」
結の問いかけに。
「そうですし、そのドキドキする気持ちを支えてあげたい、というのが、私の願いです」
えにしさまはそう答えた。
「でも、優樹お姉ちゃんは」
「今は、すごく
えにしさまが、結に
「少し、心配です」
「
それは、いつも見守っているえにしさまだからこその言葉だった。
翌朝の朝食で。
「あ、あのね」
「どうしたの、優樹」
父の真が聞き出し、結は『まさか』と
優樹らしくない、少しもじもじとした間の後。
「女の子、好きになっちゃったかも……」
「!」
長男の
結を
「優樹も、か」
真は特に
母の
「お父さんとしては、別に
「えっ、なんか『本気か?』とか、ないの?」
「お母さんも、優樹がそう思ったなら、
「で、でも」
「最近、同性のカップルも
両親はにこにこと答える。
そんな両親と優樹とを、下の3人が
「……じゃあ、良いのかな」
優樹が、またぽつりと言った。
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