第24話 九龍頭光太郎の解答
九龍頭は蒲生や井筒に依頼し、客人や従業員全てを大広間に収集した。半ば諦めたような一同はめいめいに椅子に座る。九龍頭はいやいやと腰を低くしながらにこやかな笑顔を浮かべる。
「いやぁ、ついに解りましたよ」
「ほう、さすが探偵小説の先生。今回の事件の真相がお分かりになられたと?」
天羽が首を掻きながら訝しげに言った。
「それだけじゃありません。実は15年前の事件の真相もね」
「なっ、真相?」
浅香源蔵が立ち上がると言った。
「兄が犯人じゃないとでも?」
「いや、恐らく遺体の解体をなさったのは、亡くなられたお兄様でしょう。しかし、解体をなさっただけです。実行犯が別にいます」
「それが今回の事件と……」
「井筒さん、これが大ありなんです。そうしなきゃ何もかもが繋がらないんですよ」
天羽太一郎はははっと乾いた笑いを浮かべると、腕組みをして続けた。
「それじゃ、高説を賜りましょう?」
「いやいや、そんな大したものじゃありませんよ。まずは今回の事件についての説明を致します」
九龍頭は机に両手を置くと口を開いた。
「あの8時30分から9時20分の空白の時間についてです。全ての鍵は窓から漏れていた光です」
「光?九龍頭先生。まさかあの赤い光ですか?」
「そう、あの光はまさにあの真っ赤な柘榴石の間から漏れた光ではなかった」
「えっ?」
「あの光は水晶の間から漏れた光でした」
井筒はあんぐりと口を開く。
「はぁ、しかしながら先生。なぜあの部屋から真っ赤な光が?」
「電灯に赤いセロファンを使ったんですよ。あの部屋の真ん中で上がった炎は、飯島美晴のメモを燃やす目的でも、我々の目をそこに集める目的でもない。まぁ、それは一つの目的ではあったんでしょうが、犯人の最大の目的はまさに電灯に巻いたセロファンを焼却することでした」
「……って、ことは?」
「犯人は水晶の間にいた事を偽装する為にこの仕掛を利用した。隣にある柘榴石の間に似た光を発する事で、柘榴石の間には人がいるぞという事をアピールする為にね」
全員の視線が一点に集まった。
「そう、犯人はもうお分かりになりましたよね?それではこれからもう一つの謎の解明に入ります」
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