第23話 最後の一葉
九龍頭はまた再び水晶の間に入った。その現場はまだ保存されている。九龍頭は部屋に入り、隅々を眺めながらぶつぶつと呟いている。
「先生?」
井筒が部屋に入ると、九龍頭は顔も見ないまま、あぁと答えた。明らかに心はここにない。
「僕らは何かを見落としてる、そんな気がしてならない」
九龍頭は部屋を舐めるように見回す。ふと九龍頭の目線は部屋の真ん中、丁度火が燃えていた灰皿に向けられた。
「紙が燃えた煤ですね」
「えぇ、ん?」
九龍頭は灰皿を持ち上げると、中の燃えかすをテーブルにひっくり返した。
「先生?何を……」
「やっぱり……そうか!」
九龍頭は灰皿をテーブルに置くと、井筒を見て言った。
「これが、鍵だったんですよ。井筒警部。僕らは思い違いをしていたんです」
「えっ?なら……」
「謎は全て解けましたよ。全てね」
井筒はやや興奮したように訊いた。
「本当ですか?」
「えぇ、今すぐに皆さんを広間に集めてください。事は、一刻を争うかもしれませんから」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます