第一の事件
過去
大滝哲二朗は落ち着き払った様子で取調に応じている。この老紳士がまさか血腥いこの惨劇の犯人だとは……同時に落ち着き払ったこの老紳士が死体を解体する様を想像するだけでうすら寒さを感じる。
今里警部は事件現場の情景を頭から取り払い、冷静に大滝に話しかけた。
「あんたが、やったのか」
「警部殿、私は嘘など申しておりません。あの百合根一族を殺したのは私です。貴方様も見たでしょう。あの醜い四体の死体を」
四肢を切断された主人、百合根三郎、妻である
「然るべき姿に、私がしたのですよ」
「へぇ、じゃお前さんはあの一族に私怨があったのかい?」
「私怨? ははは、そんな生易しいものじゃない。あの一族は呪われているんですから」
「例えば?」
「それは、少し調べれば解ることで御座います」
今里警部は腕を組んで大滝に訊いた
「さて、詳しく話してくれ」
「いいんですね?」
大滝はにやりと冷ややかに笑うと、事件の全貌を訥々と話し始めた。
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