ショタな僕の国会デビュー(原作:源 綱雪)

 総理大臣からの手紙が届いた時は驚いた。詐欺の一種だと思った。

 放置していたら、黒い車でスーツの人が直接やってきた。

 以前、僕が衆議院に出した陳情書が、何がどうなったかよくわからないけれど、総理大臣の元に届いたようだ。

 そして、副大臣にしてやるから、自力で法律を改正してみろ、ということらしい。


 いやいや、僕はまだ十五歳、高校生だし。

 そして、やってきたスーツの人も驚いていたけれど、身長が低く、背の高い小学生に負ける、かつ、非常に童顔なもので、よく小学生に間違われる。

 小馬鹿にされるに決まっている。


 だがしかし、やってみろと言うのなら、やってやろうじゃないか。

 高校生の力を、認めさせてやる。



 僕が目指すのは、動植物の権利拡大。民法、刑法、戸籍法、健康保険法、医師法の改正だ。

 ペットは家族と言いながら、人との扱いが違いすぎる。おかしいだろ。

 植物だって、もっときちんと保護されるべきだ。


 でも、人は動物も植物も食べる。食べなければ生きていけない。

 全てを人と同じに扱うわけにはいかない、きちんとした線引きが必要だ。

 在来種、外来種の問題もある。人間だって、国籍により扱いが違ってくるんだ、分けるべきだろう。

 在来種をきっちり守っていく方向で。


 副大臣にしてくれるということは、与党は見方をしてくれるということだろうか。

 それとも、与党すら説得できないおなら早々に諦めろと、生意気な高校生にかかってくるだろうか。

 どうせ野党からは質問されるんだ。与党を説得する必要があるのなら、その準備と考えればいい。

 どんな質問が来ようとも、潰しにかかってこられようとも、動じないように下準備をきっちりとしなければ。



 副大臣に任命する以上、僕があまりにもお粗末であれば、総理大臣が野党から責められる口実になってしまう。

 だから、最低限のサポートとして、秘書を一人つけてくれた。審議の流れや、作法を教わる。

 ポーカーフェイスの練習もさせられた。


 前代未聞の高校生副大臣だから、マスコミにも注目される。

 そのあしらい方も指導を受けた。

 着々と準備を進める。法改正のためだけの副大臣職だから、その他のことはやらなくていいということで、正直助かった。

 まあ、学校の勉強は、放置するわけにはいかなかったけれど。



 ついにその日がやってきた。ここまでは漕ぎ着けた。

 委員会での審議の初日。法改正に向け、本格的に動き出す。

 僕は、副大臣として、国会へ向かった。



---

原文:https://kakuyomu.jp/works/1177354054885350902/episodes/1177354054885350904

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る