第22話 食事と温かい寝床
山菜の採取、猪や熊を狩って・・・魔物も食べられる物は運ぶ。
パラスも熊を担いでいる。
それなりの力はあるようだが、エルクが魔法で浮遊させて運ぶ量と比べれば微々たる量だ。
こういうのは量より気分、エルクはそう思う。
追加の食料を村に運び込むと、セリアが再度料理を始める。
あの小さな体の何処に入るのか・・・パラスの食べる量は凄い。
「美味しかった、ごちそうさまです!」
追加で採ってきた食料の大半を平らげた後で、パラスが一息着いたようだ。
「お疲れ様、セリア」
「いえ、料理を作るのは楽しいですし、美味しそうに食べるので作り甲斐が有りました」
セリアがにっこり笑って言う。
「エルクさん達も旅をしておられるのですか?」
パラスが尋ねる。
「うむ。もう少しこの村に滞在するが、その後は旅立つ予定だ」
「なら、僕も付いていって良いですか?」
パラスの顔に、美味しい食事、と書いてある。
・・・どうしたものか。
正体を明かしておかないと、吸血を見られた時に困る。
魂の輝きは綺麗なので、恐らくエルクが魔族と聞いても騒がないと思うのだが・・・
「パラス様、私達の旅に付いて来るなら、エルク様の妻にならないと駄目ですよ」
「でしたら、妻にして下さい!」
軽いな。
「・・・パラス殿、今から話す事は内密で御願いしたい。実は、俺は人間ではない。吸血鬼だ。つまり、俺の妻になるという事は、俺の眷属となるという事だ。眷属になるのなら歓迎するが、断ってくれても良い。ただ、俺の正体に関してだけは黙っておいて欲しい」
「魔族の方なのですね!ならきっと僕は役に立てる筈です。是非眷属にして下さい」
何故かさっきより嬉々として言う。
その自信が何処から来るのか分からないが、パラスは良質の魂を持つ。
エルクにとって都合が良いのは確かだ。
「分かった、だがパラス、その前に説明をさせて欲しい」
エルクは、パラスにエルクの理論を説明する。
「難しい事は分からないけど、多分大丈夫です!」
大丈夫らしい。
「それで、何か望みはあるか?」
「んと・・・食事と温かい寝床、時々休暇が欲しいです!」
「それは勿論だが、他にはないのか?」
「はい!」
正体を明かしてからの方が前のめりだ。
エルクにとっては都合が良いが。
「分かった。パラスよ、お前をファーイーストの王エルクの眷属にする」
「はい」
パラスの体を抱き寄せる。
抵抗は一切ない。
全てを受け入れる感じだ。
首筋に牙を突き立て・・・
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