第21話 不可食性ゴブリン
「こんな塊、村に持って行ったら大変な事になりますね」
セリアが言うと、
「はい、ですので、一度固めた後に砕いておりました」
「・・・なるほど・・・それで欠片だったのですね・・・あれでも結構大きかったですが」
蛍光石、水晶、鉄・・・
「こんなところかな?」
エルクが言うと、
「これだけあれば、かなりの資産になりそうです・・・村娘なら数十人買えますね」
セリアが言う。
適当に砕いた後、魔力網に入れて村に戻る。
「エルク様・・・これは一体・・・」
村長が驚いて尋ねるが、
「詮索は無用だ。受け取って、村の為に役立てて欲しい」
エルクはそう応える。
昼から再度出かけようとすると、ふらふら歩く少女と出会う。
鮮やかな若草色の短髪、蒼い目をしている。
エルクは、少女から好ましい魂の輝きを感じた。
困っているなら恩を売れるかも知れない。
「どうした?大丈夫か?」
エルクが声をかけると、
「お腹が空いて・・・ふらふら・・・します・・・」
エルクはセリアに確認する。
「セリア、食料を分けて貰っていいか?」
「はい、勿論です・・・ほら、おいで」
セリアが肩を貸し、少女を連れて村に戻った。
セリアが手早く食事を運んでくる。
もぐ・・・もぐっ、がつ・・・がつ・・・
少女は凄い勢いで食べ始める。
「美味しい・・・美味しい・・・!」
何日食べてなかったのか、と思うような勢いで食べ始める・・・おや。
最初にセリアが持ってきた分は一瞬でなくなり、追加で持ってくる分もどんどん平らげていく。
・・・これは追加で採取する必要があるな。
「ごめんなさい、一旦ここで終わりで良いですか?」
少女に尋ねると、少女は頷く。
「はい、食事、凄く美味しかったです!有り難うございます」
セリアがエルクに言う。
「エルク様、追加で食料調達がしたいです」
「そうだな、行こうか・・・君も自分が食べた分だ、手伝って貰うぞ?」
「はい・・・申し遅れました、私はパラスと言います。食料調達、勿論ついて行きます!」
「俺はエルク、こちらは俺の妻のアンリとセリアだ」
「エルク様、私の名前は後にするように御願いします!」
アンリがエルクに抗議する。
「・・・俺の妻の、セリアとアンリだ」
「宜しく御願いします!」
パラスが元気に微笑む。
パラスを連れて、再び山の中に入る。
今度は、ゴブリンの集落があったあたりだ。
「風よ、射貫け」
風の槍が飛び、ゴブリンソルジャーの胸を貫く。
「まだ生き残りがいるみたいだな」
「根絶は難しいですよね・・・」
セリアが不安そうに言う。
「ゴブリンって食べられるんですか?」
パラスが尋ねる。
「パラス様、ゴブリンは食べない方が宜しいかと」
様がついている。
アンリが敬称つけてる基準は何処にあるのだろう。
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