第20話 資産増強

エルク達は、ある程度集めたら村に戻り、村人に渡す。

村人は感謝して、食料を受け取る。

対価は取っていない。

昨日の蛍光石も、差額は村への寄付とした。

セリアを連れて行くのだ、それくらいはする。


村人は、早速炊き出しをして配っているようだ。

保存食を作っている者もいる。


「別の村から迎えの者も来るそうですが・・・数日はかかる見込みのようです」


「山の向こうならそうなるだろうな。無事着けると良いが」


「ゴブリンは駆除できましたが、まだまだ魔物は多いですしね」


「あちらの山にも行って、食料を集めがてら、近隣の魔物を処理してもいいかもしれないな」


「はい、そうしましょう」


数回繰り返し、その日は作業を終えた。

元々、魔物を警戒する必要がある為、山に入っての食料調達はそこまで効率が良くない。

エルク達は魔物すら獲物となり、運べる量も膨大なので、村の男衆総出数週間分の収穫量が1日で集まった。


セリアはまだちょくちょく事務作業の為村長宅に戻ったりする事もあるが、夜はエルクのと一緒に過ごす。


「・・・これは・・・美味いな!」


エルクは感動し、声を漏らす。

セリアが作った料理は絶品であった。

塩や香辛料で味付けされており、エルクが作った料理とは別物だ。


「お口に合って良かったです」


セリアが微笑む。


「うう・・・やっぱりセリア様の料理は美味しい・・・!」


アンリが涙を流して食べている。

・・・やっぱり?

エルクは気にしない事にした。


宿屋に戻り、吸血を行う。

エルクは食事でも栄養摂取は出来るのだが、吸血は栄養効率が良いし、魔力も増える・・・何より、美味しい。

眷属にとっても、主人に吸血されるのは、喜びであり、快楽も伴う。


エルクはセリアを抱き寄せ、首筋に牙を立てる。


「う・・・はう・・・」


セリアが可愛い声を出す。

エルクは非常に美味しいと感じるが、自制は出来る。

ある程度で吸血を止め、牙を離し、血を止める。


続いてアンリを抱き寄せ、首に牙を立てる。


「ん・・・」


セリアとは違った味で楽しめる。

美味しさはセリアの方が格別ではあるが・・・アンリはアンリの美味しさがある。

アンリからの吸血も止め、舐めて血を止める。


「それでは・・・今晩は勤めさせて頂きます」


セリアがエルクの傍に歩み寄り、そっと体を預けた。


--


セリアが作った朝食を堪能した後、エルク達は洞窟へと向かう。

食料は昨日である程度集まったので、金銭的価値のある物を採取する為だ。


「探査」


エルクが周囲の鉱物を調べ、


「採掘」


地面から鉱石を含む土を浮上、


「抽出」


鉱石を抽出し、固めていく。


「なるほど・・・こうやって集めていたのですね・・・魔族はやはり凄いんですね」


セリアが感心して言う。


「・・・セリア様、普通は魔族でもこんな事出来ません。これはエルク様だから出来ているだけです」


「あ・・・そうなのですね。流石ご主人様です」


セリアが微笑む。

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