第15話 救出

「な・・・何でスフィンクスが眷属何ですかあああああ?!」


・・・うん、そりゃびっくりするよね。

エルクは心の中で頷く。

魔族に対する対抗勢力の筆頭である。

普通魔族に嬉々として仕えていない。


「セリア殿、今は急ごう」


「あ・・・はい・・・すみません」


セリアは我に返ると、アンリに飛び乗り、エルクにしがみつく。


「あっちです」


セリアの案内で、アンリが飛び、数瞬後にはゴブリンの集落へと着いていた。


「あの中央の建物が怪しいな」


エルクはアンリから飛び降りると、


「風、無数」


無数の風の刃を産み出す。

視界に入ったゴブリンに対し、次々と投げつけ、その命を奪う。


「解析」


エルクは魔力を走らせ、地形、生命体、の種類、位置を把握。


「風、刃」


風の刃を錬成。

ゴブリンキング、ジェネラル、ウォリアー・・・次々と体を貫いていく。


部屋には、既に手を付けられた女性、そして順番待ちをしていた女性。

幸い、この部屋の女性は、手を出された女性も、その程度は少なく、体を損傷された女性もまだいない。


まだ混乱している女性達に対し、


「甘い眠りよ」


柔らかな眠りの魔法で、意識を奪う。

魔力の繭で包み、浮遊させて出口へと向かう。


「エルク様!」


セリアを連れたアンリと合流する。


「セリア殿、とりあえず宴っぽい場所にいた女性は助けてきたが、この中に目的の女性はいるかね?」


「この娘です、親友のリサです!」


セリアが嬉しそうに、リサを抱きしめる。

・・・無事な方だ。


「アンリ、セリア殿と女性達を頼む」


「はい、任せて下さい」


「俺は向こうから掃除してくる」


エルクは、別の建物に向かう。

兵士詰め所、食料庫、寝所・・・ゴブリンを見つけては命を奪い、人間の女性を見つけては繭にくるんで運ぶ。

30分程かけて、村の半分の掃除を終えた。

中には精神的、肉体的に問題がある女性がいたが、とりあえずそのままアンリの所に置く。

・・・肉体的損傷は治そうと思えば治せるのだが、魔族が人間にそこまでする、というのも微妙な気がしたのだ。


「ん?セリア殿は?」


戻るとセリアがいない。


「偵察です」


アンリが答える。


「偵察・・・?」


間もなくセリアが戻ってくる。

女性を一人抱えている。


「向こうの方では仲間割れがあったらしく、倒れたゴブリンが多かったです。まだ囚われていた女性とかがいます」


「分かった。向こうは掃除したから、後はあちらだけだな」


-----------


2018/03/23:

突然オークが出現していたので、ゴブリンに修正。

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