第12話 報告

採取を終えると、再びアンリに跨がり、村に戻る。

ギルドでキラージャッカルの首、月待草、蛍光石を渡す。


「・・・旦那凄いですね。かなり高名な冒険者なのでしょうか?」


「すまない、訳ありでね。詮索は困るのだよ」


「そうですよね・・・すみません・・・とりあえず、上乗せして報酬は払わせて頂きますが、今払い切れない分は後日とさせて下さい」


「それで構わない」


「・・・採取した場所をうかがっても?」


「すまないが、それも言えない」


「・・・ですよね、失礼しました」


割の良い採取場所等は秘密にして稼ぐ、冒険者なら良くある事だ。


エルクは報酬を受け取ると、


「すまない。宿を取れる場所はあるか?」


「村に一軒だけ有りますよ」


エルクは場所を教えて貰うと、まだ日は高いが宿に入る。


「アンリ、お疲れ様。今日は早めに休もう」


「お疲れ様です、エルク様。明日からはどうされますか?」


「そうだな・・・噂を聞きつけて切羽詰まった女性が依頼に来る、なら都合が良いが。そうでないなら一旦離れ、王都は避けつつ、地方都市に行くのが良いかな」


「いえ、是非この村で探されるべきだと思います」


・・・?

不意に強気で主張するアンリ。

エルクは戸惑いながらも、


「ふむ・・・?アンリがそう言うのなら・・・」


肯定の意を示すエルク。


路銀は当面の分が一度に貯まってしまった。

名を売る為に追加でクエストを受けても良いのだが。


「エルク様」


アンリが言う。

エルクも分かっている。

部屋に近づいて来る女性がいる。

魔力はあまり感じないが・・・


「うむ、念の為に油断はするな」


エルクがアンリに言うと、


「違います、頑張って下さいと言いたかったのです」


・・・それは、眷属に加えるという意味だろうか。

確かに、恩を売れれば可能かもしれないが。


女性は部屋の前で止まると、扉をノックする。


「入って構わない」


エルクがそう言うと、女性が部屋に入ってくる。


「初めまして。私はこの村の長の孫、セリアと申します」


セリアが、ぺこり、と頭を下げる。

長く赤い髪に黒い目、かなりの美人だ。


「俺の名はエルク、妻の名はアンリだ」


「セリア様、ご機嫌麗しゅう御座います」


アンリが跪き、挨拶する。

・・・いや、敬意を払いすぎだろ?!

セリアも若干戸惑った様子を見せる。


「あの・・・長老の孫、とは言っても、決してそんな態度とられる存在ではないので・・・」


慌てて止めるセリア。


「して、セリア殿。どのような要件かな?」


「はい。実は、今日エルク様が納品された蛍光石なのですが・・・」


エルクは、次に続く言葉を注意して待つ。

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