わたしも

 いったいあの時、何を考えていたのか。私は、大学へ向かいながら思う。毎回それを考えながら歩いている。

「え? どういう意味」

「いや、だから、俺にも夢中になれるなんかあったらって」

 そんなやり取りを思い出す。少しの時間、短い時間を一緒に歩いた記憶。それも、ストレスや抱えてた問題の多さで潰れかけてた頃。

 だけど、あれ以降に電話やメールが来ることはなかった。だから、私は『もう大丈夫なんだ』と勝手に思っていた。ただの思いこみで、本当は大丈夫なはずじゃない、だから――居なくなったんだよね。

 今日は、雨が降りそう。ちゃんと、傘は持ってるのかな。

 駅を出てすぐに雨は降る。かばんから折りたたみ傘を取り出し、雨の街へ。今日も、私は歩く。今も何処かを歩く彼を思いながら。

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