2つの思い

光の話

いつも

 ある日の午後、大学終わりにここでは見ない人を見た。

 最初は、見間違いと思ったけど、そんなことはなかった。いつか、一緒に歩いたときも思ったけど、は辺りを見回しながら歩く癖がある。その癖は、見ればすぐにわかってしまう。

「……なんで、この街にいるの?」

 別に、いることに問題があるわけではない。彼だって、何かの用事でこっちに来ることだってあるだろう。でも、でも、その癖が出てるってことは――散歩でこっちに来たんだよね。

 数日後、問題は起きた。――

「え、あいつ帰ってきてないの? でも、私大学帰りに見たよ」

 母親との会話。数日前、彼の親とうちの親が会ったらしい。そのとき、そのことを聞いた、と母は言う。向こうの親は、彼に対して特別に何か行動をするつもりもないという考えらしい。

「…なんか、怖いよ」

 いつも隣に居た彼は、いつの間にか隣でも後ろにもいなかった。

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