{第十一話} オレ、チート主人公だから!

「チート主人公になったはいいものの」

「根っからの引きこもり気質なのか」

「家から出る気にならない」

「現実世界でも平日は学校以外は家から出なかったし土日なんか完全に引きこもってたしな...」

「マンガとかないかなぁ...」

ふと本棚に目をやる。

「難しそうな本ばかりだな...」

「建築基礎学にアーク溶接...専門分野の本ばかりだな...」

「そして...異世界チートマニュアル...ん?ここにもあんのかw」

本を取ろうと引きだすと。

「ゴゴゴゴッ」

本棚が動き出す。

「おいおい、マジかよ...w」

本棚の裏には扉があった。

「おーい、ネラ」

「はい、お呼びですか?マスター」

「この扉なに?」

「私も初めて見ました...」

そう言うとそっと扉に手をかざす。

「どうやら、別の空間にワープ出来る扉みたいです」

「つまり、この扉をつかえばいろんな空間にワープ出来るのか?」

「いえ、この扉は行き先が固定させているようです」

「固定されてる?どこに?」

「そこまでは分かりません...」

「そうか、じゃあ行ってみるしかないな!」

「やめたほうがよろしいのでは?」

「とうして?」

「危険な場所かもしれませんし...」

「大丈夫だと思う」

「なぜです?」

「なんか、この扉の先にあるものがオレを呼んでいるような気がする」

「根拠は?」

「ない!直感!」

「そうですか...」

「だいいち、おじさんかじいちゃんのどちらか分からないけどさすがに家からダンジョンやラスボスの部屋につながるような危険な扉は作らないだろう?」

「それもそうですね」

「万が一の事があったらオレに任しとけ!なにせオレはチート主人公なんだからな!」

「わかりました」

「そういえば、ネラって戦闘できるの?」

「一応できます」

「そうなんだ、どれくらい強いの?」

「マスターの半分+αでしょうか」

「へーって結構強いじゃん!えっと、オレのレベルがたしか...」

「999です」

「そう、でオレの半分だから...500位?」

「そうなりますね」

「この世界の平均レベルが分からないからな...でもオレの半分でしょ強いに決まってる」

「この世界の平均レベルはたしか...」

「言わなくていい」

「何故です?」

「つまらなくなるだろう?」

「そうですね」

「そういえば+αって?」

「自己再生です」

「なにそれ?」

「たとえどんな傷を負っても魔力さえあれば傷を治癒することができます」

「死んだ場合は?」

「マスターからの魔力補給で回復します」

「不死身だな」

「はい一応は」

「あ、でもオレが死んだらダメなのか」

「そんなこと例え冗談でも言わないでください!」

「ご、ごめん...」

「で、でも大丈夫!オレ、チート主人公だから」

オレは初めて彼女の感情的な姿をみた見た。

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