{第六話} CURE(キュアー)

「とは言ったものの、川ってどこたよ!」

「方向音痴だよ!」

「そうだ!こんな時こそGPSを!」

「圏外か!」

「クソが!」

そういうと彼はケータイを投げるフリだけしポケットにしまった。

「川なら...あっちのほうに」

男性は指をさしながら言う。

「あ、ありがとうございます」

川に着くと軽く傷口を水で洗い流す。

「ここからどうしたものか...」

「包帯なんかないし...」

「ワンチャンこの銃で...」

彼は男性の傷口に銃口を剥ける。

「な、なにを...!?」

「痛いかもしれませんが我慢してくださいよ」

「ヒール!」

バンッ!

森に銃声が鳴り響く。

「グフッ!」

衝撃はあるようだがみるみるうちに男性の傷が消えていく。

「よし!成功だ」

「けっこう使えるな、この銃!」

そう言いながら銃をまじまじと見ていると男性が起き上った。

「助けていただいて、ありがとうございます」

男性はふかぶかと頭を下げる。

「いえいえ、私が巻き込んだ事ですから」

「何かお礼をさせてください」

「そんな、いいです」

「私の家でお茶でも飲んで行ってください」

「そこまで言うならお言葉に甘えて」

「ここをまっすぐ行った先にある村が私の住んでいる村です」

そう言うと男性は歩きだした。

彼もそのあとを追う。

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