第5話:一室での緊張感
私は、あの机の上にあるリボンがとても気になっていた。けれども下に敷いてあるのが、お母さん、ローゼの遺書だとしたら見たくはないものである。
「ここで、私が何かの病で亡くなったとすると…」と考え込もうとしたが、少し気分が悪くなりそうで身体が硬直しそうになる。
とても今、生きていると怖くて仕方なかった。周りを見回すと、灯籠の傘にヒモが何故か吊るしてあった。何だか…不気味だった。
私は、只、ベッドの上で寝ているしか…何もできなかった。
でも直ぐに、ベッドから、居ても立ってもいられなかったのか、出て、机の上ではなくて、鍵のある引き出しと下の三段の引き出しを開けようかなと思って、鍵の引き出しをダメもとで開けたが、やはり開かずに、下の三段の上から引くと、何も入っていなかった。二段目を引くと、一番上の鍵があって、写真が一枚あった。
また全員集合写真のようで、どうやらそこには、私が二歳の病が発症する前の情景だった。皆の表情が何故か、にこやかではなかった。何かに思い詰めていたのか…とりあえず、私には、何もわからなかった。
よーく、私の隣を見ると、私の他に一人、見知らない人が又、その人も無表情だった。
どうしてこうも気持ちが重く感じるのか、全てが分らずだった。その鍵を使って、上の引き出しを開けようとしたが、最下の引き出しを引こうとした。
そこには、日本玩具の手鞠とタイの国の魔除け人形の毛糸製で何やら私へのお土産だったそうで、[おめでとう]のタグが付けてありました。
直ぐにその二つは、触れもせずに引き出しを押して閉めた。
私に対して、とっても大切に想ってくれたお母さん…会いたかった。「ありがとう」…その一言が言いたかった。
何故、ここで急死したんだろうか…何だか私の身体に寒気を感じた。
あの時間にいたおじいさんが近くにいると思うと怖かったと急に思えた。
そんな事は、お構いなしで、最上の鍵付きの引き出しを開けようとした。
鍵穴を通して横に捻ってみるとロックが解除されてガチャッと音がした。私は、思わずハッとした。胸をおさえるとドキドキと動悸がした。引き出しを開けると、そこには、手紙があった。「何これ?」と私は口にして言ってしまった。手紙を広げると、お母さんよりと書かれてたので、動悸させて読んだ。
「シェリーへ。
私の大切なシェリー。私は、この世界にいる事を知って下さい。まずそこから話します。机の上にあるリボンは、あなたが三歳の誕生日プレゼントです。その下にあります手紙を読んで下さい。さて、引き出しの二段目にありました写真の隣の子は、あなたは、今、わからないでしょう。でも、知って下さい。
あなたの姉のメアリーです。どうして、この世界にいないのか…家にいないのかを伝えます。
あなたは、心臓がとても弱かったのです。ですから、常に心臓麻痺をしていました。医師の上では、薬を常薬して下さい。との事で飲んでも治りはしませんでした。寧ろ、悪化して姉のメアリーも心配してあなたを見守っていました。病状の事は、そこあたりにしておき、姉は、あなたに心臓を託しました。元々姉も病弱でした。余命もなかったのです。そのような重い病を持っていた姉があなたを見守っていた気遣いに私は、思わず悲しみで溢れていました。もうわかりますよね。あなたの病を治してくれたのは、いやっ生命を永く生きて欲しい為に託した臓器移植の対象が姉で健康な心をあなたに授けたのです。ですから、これを読んで姉を恨まないで下さい。姉は、あなたがとても苦しそうで痛くて仕方がなかった…それに何れにしても余命が僅かだった。その温かい思いを受け止めたい為にした事だと私は思いました。
私は、生きています。この世界のどこかであなたを何十年と健康でいられるように心から願っています。 お母さんより」と綴ってあった。
私は、直ぐに動悸して、胸に手を当てた。 私の心がなくて、姉の心がここにある。どういうことなの…それって…私の心がこの世界から死滅したって事なの?信じられないよ。と思いどうしていいのかわからなかった。
「でも…決して…信じられないけど、お姉ちゃんの事は、恨んだりはしないよ」と悔んだけど、お母さんを信じた。患っていたお姉ちゃんの身体は、一生懸命だったという気持ちは、何故だろう借りているこの心臓がお姉ちゃんの心だからだろうか。退院後には、確かに、健康でいられた。今もそう。と思って手紙を鍵の付いてある引き出しの中にしまった。
私は、もう、疲れてしまい、ベッドの上に戻って暫くは、ぼーっとしていた。
それから、寝そべり始めました。その後に、スヤスヤと眠りについてしまいました。
この心は、お姉ちゃん…お姉ちゃんと私は、同一体になったような感じがして、幸せに感じました。「ありがとう。お姉ちゃん…」
大切な魔法のリボン 聖真子天蒼 @shoshinji
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