第2話:自宅の写真

あれから、七年の年を迎えた。私は、どうやら、もう十歳だった。

あれから、退院せずに、入院を念の為に試みたが、七年の月日がもう私が覚めてから経ったという。

私には、一切、月日、年という感覚や知識がありませんでした。

でも、お父さんのモルダーという人が私に様々な事を教えてくれた。言葉や勿論、月日、年、曜日も。

「うん…分った。月曜日・火曜日・水曜日」と習い事を色々と教えて、徐々に、覚えてきていた。

私の覚える脳力は、何故だか、通常の幼児学習能力よりも覚える知識があるようだ。

でも私には、それは、比較する事を絶対にしなかった。自慢とか満更でもない。

私は私の今、どうしていこうかという問題点にいた。

それから、もう退院をして、久し振りとお父さんは、言っていたけども、私には、初めて見る光景だった。

硬そうな石の段積みで、扉は、木製で外を覗く穴があった。外は、大草原だった。「わぁー。きゃははは…」と私は、草原の上を笑いながら戯れていた。

「おーい。あまり燥ぐと危険だぞ!」とやれやれとした面持ちで腰に手をあてながらいた。

「はーい。わかってるわ」と笑顔で言うと、お父さんは、仕様がない顔の奥には、穏やかそうな笑みがうつった。

私は、草原の上で、寝転がって、空を見ていた。涼しい風…そよぐ草木。


[私は、この世界で、どう生きるというのだろう。臓器移植という生死を彷徨う危険のある大手術で目が覚めた時のあの医者によって生還したようだけれども、私…さみしい…何故だか。心がさみしい。ちっとも嬉しくって楽しむような一日をしていないのですもの。一日が縛られた人形のように、只、天上を見て来ただけで何も…]と思いに耽ってしまって雲の流れに見届けるだけだった。

でも雲をみてみると、ゆっくりと物が動いているように見えた。

この初めての感覚と懐かしいような感覚が入り交じっていた。

「あれは…ソフトクリーム…あれは、クジラかな…。あっあれは」と指で指しながら当てていっていた。

すると、目の前に、「正解」とお父さんが冗談に、笑いを見せて脅かされたので私は思わず

「きゃっ」と言ってお父さんと頭と頭がぶつかり合ってしまった。私は、痛そうに頭をおさえていた。

「お父さん!脅かさないでよ」とムスッと頬を脹らませていた。

「ごめんごめん。けれども、もう家へ入ろうな」と頭をおさえて笑いそうに言っていた。

仕方なく草の上に立ち上って草の雑草を手で払っていて、脹れっ面な顔を私がして、その後に、暫くお父さんが扉の中に入るのを見た後に走って入った。

中は、テーブルやイス、タンス、キッチン、ソファーとベッドがあってとにかく、いくつか家具が置かれていて、皆が押しへし合いをしているように部屋の一つがギュウギュウと家具であふれていた。

玄関の横にある写真立てを見て、思わず手に取っていた。

「あー玄関では、段差には、注意しなさい」とお父さんは、注意をする。

「はーい」と少し惚けた声で言う。

私は直ぐにテーブルの所にあったイスに座って写真を見つめていた。

一人一人確認は、するものの…誰が誰か分らなかった。

「あーそれは、お前が産まれたての赤ん坊の時の集合写真だな…へぇーちっちゃいなー…お前も大きくなったんだな。あの病がなければ、おか…あっいけなかったな…台所へいかないと料理を作っている最中だったんだ」とおか…で止めた事が気掛りで、不思議そうに私は、お父さんの後姿を見ていた。

また写真をみると、赤ん坊がどうやら、私のようだ。

「シェリー。左にいるのは、親戚のおじさんだ。ヘドガルさんだ。その後には、その子供のヘマルだ。右に、俺が写っているのがわかるか?お前を…抱いているのがローゼというお前のお母さんだ。今は、もうここにはいない。死んだのさ。お前に大事なものを渡して直ぐに、病で倒れて亡くなってしまったんだ」と気を落としたように言っていた。

私は、その言葉の内容が理解できなかった。お母さんが亡くなった?私にくれた大切な最後のもの?と考え込む。

「あ~まぁもうそんなに考え込むな。今日からは、俺にまかせろ!お前の面倒は見る」と言った。

私は、写真をみて、指でさわり「これが…お母さん…これがお父さん…これがおじさん…」と写真をさすっていた。

「お前の大切なものは、二階のお前の部屋の所に置いてあるから、見てくるといい」とお父さんは、言っていたが、私は、行く気にはなれなかった。

何故だろうか、私が家中がとても懐かしく思い、二年間の月日が流れていたあの頃の記憶にしては、おかしかった。

一つ一つが懐しさではなくて、何故か、初めての感じで、一つ一つ手で触れて、確かめていた。

お父さんは奥の方からこちらの行動に気が付き「どうした?シェリー。何か探し物をしているのか?」と聞いていたけども、私は「違うの。一つ一つが興味を持てて、触れていただけなの」と説明をした。

「そうなのか?」とお父さんは、言ってまた台所の方へ行ってしまいました。

この木製で小さな椅子…手触りがとても良くて、ヒノキの匂いがして…とっても心地好いかもと私は思いながら、椅子に寝そべっていました。

気が付くと頭を撫でていたお父さんがいた。どうやら私は、椅子から滑り落ちてしまい、頭部をぶつけていたらしく、とても頭が痛かった。

「無理をするな…退院したばかりなんだから。料理を作る余暇もない。さぁ…二階の自分のベッドで寝るんだ」と引張られていきそうになったけども私は「二階は、いやだ…恐い…恐いから放して…」と恐怖に二階の自分の部屋に怯えていた。

「…そうか…お前…あの時の恐怖心がトラウマになっていたんだな…すまない。無理に上らせようとして…」とお父さんは、残念そうに俯いていた。

「そのような事はないけど…私が勝手にそうさせているというのか…トラウマとか…そういうのじゃないの」と必至に考えながら言った。

「そうか…なら…一階にいなさい。二階の蒲団をもってくるから、あそこで寝なさい」と言って居間の方を指していた。

それから私は、居間の方へ向い、天井にある傘のような物を見ていた。

それは、この国(リクク諸島)の灯籠で日本で言う現在の蛍光灯を示すだろう。

その火の粉を煽り立てるのを眼で泳がせながらにいた。

「キレイな物だなぁー。これって触れられるかな…」と私は、火に手を近づけてしまいそうになるのだったが、それをお父さんが止めた。

「おいっ!シェリー。灯籠に触れてはダメだ!いい加減に落ち着いていろ!」とお父さんに手を弾かれてしまい。

怒って私を睨んでいました。私は、叩かれた手を後に隠して口を思っ切り閉じて緊張していた。あまりに驚いたので、その顔がおかしくなってしまったらしく、恐る恐るお父さんの顔をみてみると大笑いをしていました。「ハハハハハッハハハハッシェリー…そんなに緊張した顔でこっちを見せるなよ」と言っておなかを抱えていた。

私は、ムスッとして「もう!お父さんが睨むからドキドキしちゃったんだから」と私は、逆に怒った。

「ごめん…お前が危い事をしていたから…手を叩いてしまった…このとおりだ」と言って謝りながら、何だか、心で笑っている事が見え見えだった。その後も少し笑って蒲団を敷いていた。

私は、それが気に入らずに別の部屋へ怒りながら行った。「まったく…お父さん」とぶつぶつと言っていた。

ふと、暗そうな階段を見つけた。

[ここが私の部屋に続く階段…でも私は、ちょっと今は、行きたくはない。でも…少し引っかかる事がある。お父さんが言っていた『そうか…お前…あの時の恐怖心がトラウマになっていたんだな…』という一言がとても引っかかりました。どうしてトラウマと言っていたのか…私には、わからない…この階段を上がれば、きっとわかるかも]と私は思って足を一歩、階段の一段を踏み込もうとしていた。

「おーい。シェリー」というお父さんの声が聞こえたので、私は、ハッとなって[しまった!もう少しで二階に行ってしまう所だった]と思って、先程の居間へ向った。


「もう用意ができたから、少し寝ていなさい。俺の言う事を聞けよ」と少し…いやっやはり気に入らなかった。

私は、蒲団の方へ向い、敷き蒲団に座って白いかけ蒲団をひいて横になり、かけました。

 「それじゃあ…おとなしくしてくれよ。夕飯になった時には、起こしに来るから…そう大人しくしていなさい」と、入院時よりも厳しく躾けていました。

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