犬っころ
のぶしろ
留学生
お釈迦さまに行ってきなさいって言われた。そのときの情景はぼんやりと思い浮かべられる。目的は伝えられたはずだけど、その内容を覚えてはいない。
人として生まれた。僕は肉としての人であり、そこに宿った霊でもある。霊としての人格や記憶はない。ただ自分が肉に宿った霊であることを知っていた。
僕が霊だと呼ぶものを信仰を持つ人々は神さまと呼んでいるのかもしれない。神さまは自分以外の存在として扱われているけど、僕の霊は僕自身だ。
僕は肉として世界と接触する。肉を通して人を知る。肉として何を思い、何をするか。霊はそれを観察する。そのために来た。
僕は自分の中の霊を知っている。だから僕の経験は純粋な肉の経験にはならない。生え抜きでない、ネイティブの肉ではない、留学生。
犬っころ のぶしろ @x4q
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。犬っころの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます