第8話
彼女の笑わない理由を聞いて、
俺はすぐに思ったんだ
悲しい思い出はきっと消えない
消せないなら
それに負けないぐらい
素敵な思い出を作ればいい
俺はそれから、次第に彼女と仲良くなり、
一緒に帰ったり、亜紀と3人で出掛けたりもした
笑顔は見ることはなかったけど
彼女の表情は柔らかくなってきていた
季節は2学期も終わり、あっという間に、卒業まで残り1ヶ月
俺は"石垣さん”ではなく、"美帆ちゃん”と呼ぶようになり
"美帆ちゃん”は"亜紀ちゃん”と呼び、
でも俺は相変わらず、"武田くん”
「ねぇ、美帆ちゃんは周平のこと好き?」
「好き……とかそんなんじゃ、
亜紀ちゃん好きなんでしょ?」
「え?何で?」
「わかるよ。
ちゃんと武田くんに言わないと本人はわかってないよ」
「うん、だよねぇ~」
私は昔を思い出してた
大切な2人の思いが通わなかったこと
もう、同じことを繰り返したくない
武田くんと亜紀ちゃん
2人ならきっと大丈夫
3月のまだ冷たい風に吹かれながら
胸の奥がチクリと痛かった
私は大丈夫
空に向かって、微笑んで見せた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます