第8話 とある記憶

「君!・・・翔君!」

う・・・頭がズキズキする・・・それに、変なにおいが・・・

これは・・・血?

「翔君!翔君!」

「ん?ここは?」

「あぁよかった、翔君起きた・・・」

この声は愛?

「頭が・・・痛い・・・た・・・す・・・けて」

意識が朦朧とする・・・

「翔君!待ってて!今、助けが来るからね!」

少し痛みが和らいできたな・・・と、俺は無意識に車外へ出た。


さっき俺がいた運転台からピピピピピピと、防護無線の音が鳴り響いている。

 415系1500番台、俺の愛車だ。国鉄時代から首都圏で活躍し、今でも元気に走る。

いわゆる元気過ぎるおじいs げふんげふん、元気な国鉄車だ。


 列車はひどく脱線している。まるでひどく転んで大泣きしている小さいときの俺のようだ。


20年前


「おかーさん!今日も愛ちゃんと遊んでくる!」

「良いけど、遅くならないようにね」

「はーい!」


ピンポーン

「はーい!」

「あっ!翔君!今日も一緒に遊ぼうね!」

「うん!おじゃましまーす!」

「あれ?絵里ちゃん!」

「あれ?福岡君!」

「今日は3人で遊ぼ!」

「ぼく、お茶持ってくるね!」


ガタッ

「わ!?」

バタッ

「うわぁーん痛いよー」

「どうしたの!?翔く・・・キャャャァ!」

「しょ!翔君が頭から血を流して!」

 その後、俺は病院に緊急搬送された。愛ちゃんと絵里ちゃんも付いてきてくれた。


 俺は手術を受け、病院を退院した。愛ちゃん達は毎日のように心配してくれた。

その時のお俺はまさに、今の415系にそっくりだ。           続く

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