ワーカーホリック魔法少女
高尾
初めて敵と遭遇したとき、彼女に付くサポート役、RPGでいう妖精ポジションであるところのウサギのぬいぐるみは、御法に変身アイテムのペンダントを渡した。
「さぁ、変身して戦うんだ!」
「……必要ない」
「へ?」
腰に提げた鞘から打刀を抜き放ち、御法は単身、敵陣に突っ込んでいく。
その太刀筋が見惚れるほど的確に敵の首を落としていくのを、ウサギは呆然と見ていた。
やがて血振りをした刀を納めた御法は、空を見上げて呟く。
「……あたしね、ゲームが好きなの。特にMMORPGね。身体が動かなくても、指先の操作だけで無双できるから」
くるり、と振り向いた彼女の表情は、どきりとするほどの笑顔だった。
「でも今は、
呼吸器と心臓のハンデを取り去ってみれば、中身は立派な魔法少女(物理)。
「……人選ミスったかなぁ」
間違った子を魔法少女にしてしまったかもしれない、とウサギは引き
両親はとうの昔に亡くなっており、御法を預かっていた家の人間が医療費という名目で金を使い潰す彼女を良く思っていないことは、御法自身勘づいていた。
入院していた病院をこっそり飛び出してきたのは、家庭の複雑な事情があってのことだろう。
妖精さん権限で知人の目を欺く加護も付加してあるため、身内に露見することはないといえよう。
知り合いに遭遇する危険がない、よしんば鉢合わせたとしても自分だとはわからないのをいいことに、御法は愛刀とともに暴れまわった。
高笑いを引き連れて死体の山を築き上げるその姿はまさに
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