第二十二話 クエン酸先輩の企み!? 最後から二番目の稽古相手! け、系な……ッ!?
それから、数日の間、私は剣道ばかりしていた。
剣道で疲れて、授業中に気持ちよく眠る日々。
授業中に眠るとグレープフルーツ先生に叱られるので、先生がそばに来た瞬間だけ目を素早く開けるという小技を身につけていた。
私は今日も目を開けたまま、グレープフルーツ先生のお茶目な授業を無表情で受けていた。
私がハッと我に返ると、傍らにグレープフルーツ先生が寂しげに立っていた。
「どうしたんですか、グレープフルーツ先生、系な?」
「俺の授業つまらないか?」
「めっちゃ良い美声で心地よく授業を受けてます、系な!」
「そ、そうか! お礼に課題をめっちゃ出して置こう! じゃあ、また明日な!」
グレープフルーツ先生は、足取り軽く鼻歌を歌いながら去って行った。
「け、系な?」
そして、私はいつものように剣道をするため、更衣室で着替えていた。
あっという間に、連勝記録が九百九十八にまで達していた。
「あと、二連勝で千連勝になります、系な」
私は心を弾ませながら、やる気満々で剣道着と剣道袴に着替える。
防具を着けた後、体育館の床を素足で歩いて行く。
すると、向こうからクエン酸先輩が待ち構えていた。
「クエン酸先輩、こんにちは、系なー! 後二連勝で千連勝、系なー!」
「シットラン、おめでとう! これは全てシットランの実力だけど、
「それは、良かった、系なー」
「千連勝まであと二人だ。千連勝までもう少しだね!」
「確かに千連勝すれば凄い、系な」
「最後の二人は強敵を用意したよ! それで、シットランはどこまで最強なのかが知りたいんだよ!」
クエン酸先輩が、目を輝かせている。
私は、冷や汗がたらりとなった。
クエン酸先輩のお兄さんを思いやる心は凄いと思う。
これは、責任重大だ。
私が負けるとクエン酸先輩だけではなく、クエン酸先輩のお兄さんまでがっかりするかもしれない。
九百九十八連勝できたのは凄いと思うが、コトナイアシッドさんの名にケチが付くのでは。
私は、冷や汗がたらりとなった。
最後の二人の稽古相手は、強敵と言うことは分かる。
「でも、最後の二人目は一体誰ですか、系な?」
「私は、意欲が上がってる覇! 意欲が上がり過ぎな覇!」
「えっ!?」
気配も足音も全くなかった。
突然に、背後から大声が聞こえてきた。
私は、口から心臓が飛び出しそうな気分でその場から飛び退いた。
私は顔を上げて、瞠目した。
「系なっ!?」
私の後ろで、剣道着姿で
「私が、シットランに勝負挑みます、覇!」
「ポンス先輩が、次の稽古相手、系な!?」
「そうです、覇!」
ポンス先輩は、このアカデミーのエースだ。
その先輩に果たして勝つことができるのか……?
動揺で、私の視界が微かに揺れた。
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