第二十話 シトラス先輩の悩みの真相は! 系な!

 自宅のドアを開けた私は、即行で二階に駆け上がった。

 自分の部屋に鍵をかける。

 リュックを横に下ろして、勉強机の椅子に座る。

 私は手に持っていたクエン酸先輩自作のキャラクターの封筒を、勉強机の上に置いた。


「シトラス先輩はやっぱり心配だ、系な」


 ジッと封筒を見つめていたが、やはり封筒の中身が気になる。

 十中八九、レモン先輩のことだろうが、あのひとのことで何を悩んでいるのか、妙に気になる。

 しかし、悩みとはいえ、知りたくないような気もする。

 そっと、ゴミ箱に封筒を捨てようとした手から、何故か封筒が放せない。


「やっぱり、気になる、系な! そうそう! そうそう!何で悩んでいるのか、その秘密――じゃなくて! 何かあったら大変だから! そう! 系な!」


 偽善者の私は、無理矢理自分の好奇心を納得させた。

 アカデミーで買ったジュースをリュックの中から取り出した。


「ジュース用意、系な!」


 ハサミで封筒の封を開ける。


「何が書かれているかな? 何が書かれているかな? 敬・な・!」


 私は、封筒の中を覗いた。


「便箋が三つ折りになっている、系な!」


 封筒の中に指を伸ばして、それをそっと取り出した。


「便箋には何か書いてある、系な? これに、一体何が……!」


 私は、震える手で便箋の三つ折りを開く。


「何々? 『このレモン先輩がシトラスの重要な知り合いのうちの一人』……?」


 重要な知り合いとは、何処かであった文章だ。

 私は、クエン酸先輩から貰った便箋を全て取り出した。


「これが、最初にクエン酸先輩に貰った手紙、系な」


 私は三つ折りになった便箋を開く。


「『シトラスには、重要な知り合いの三人が居る。その三人のせいでシトラスは悩んで、くるしい思いをしている』か」


 つまり、レモン先輩が重要な三人のうちの一人ということだろう。

 私の頬から汗がたらりとなった。

 やはり、レモン先輩のことで悩んでいたか。

 レモン先輩を思い出して、私は無言になった。

 正直なところ、あんまりレモン先輩には関わりたくない。

 あのレモン先輩はシトラス先輩と並んでも見劣りしないほどに質が良いが、傍目に見ても怖すぎる。

 しかし、シトラス先輩が――。


「どうすれば良いんですか、系な」


 レースのカーテンを開ける。

 窓から、太陽がとろけそうに光っていた。

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