第十話 クエン酸先輩の手紙に首を傾げる、系な?
自宅に帰ってきた私は、二階の部屋に駆け上がった。ドアを閉めて自分の部屋にこもる。
そして、クエン酸先輩に貰った封筒を勉強机の上に置いた。
「これを読んだら、シトラス先輩の悩みは解決、系なーっと!」
私は、そのアニメのキャラクターの封筒を前に腕組みをして首を傾げる。
「ん? これは、前と同じアニメのキャラクターの封筒だ、系な?」
裏を見ても表を見ても、宛先と宛名も、何も記入されていない。
「このアニメのキャラクターは流行っているのか、系な?」
悩んでいた私だったが、答えはすぐに出た。
単純なことだ。
私は封筒を開封して中身を取り出した。
「今回も一枚の便箋が入っています、系な……」
でも、クエン酸先輩の言うことには、悩みは解決したらしい。
シトラス先輩は、その解決した経緯を手紙に綴っているらしいので、これを読めば私も安心できるはずだ。
「どういうことかは分からないですが、この便箋を見れば、分かるかも! 系な?」
便箋を広げると、中には文章が綴られていた。この間と同じ筆跡だろう。筆跡を調べるプロではないが、よく似た文字の書き方なのは、素人目でも良く分かる。
私は、そこで違和感を感じたが、気にせずに文面に目を落とした。
「えーと、系な……!? ぐはぁ! 系な!?」
私は、勉強机の上に突っ伏してしまった。衝撃的なことが書かれていた。それを目にした私は大ダメージどころではなく、勉強机の上に突っ伏すしかなかった。
「なんで、シトラス先輩とポンス先輩が……、系な……!」
そこに書かれている衝撃的な事実が、便箋の中に収まっていた。
私の手から、便箋が床に音もなく落ちた。
そこに書かれていたのは――。
『シトラスとポンスは付き合っている』
「ええっ! シトラス先輩の悩みが解決したのって、ポンス先輩と付き合うことになったからですか、系なー!?」
私の目が、瞠目してパッチリした。
「質の良いシトラス先輩と、アカデミーのエースのポンス先輩が!?」
私は、またしても手紙を机の引き出しに仕舞った。
「まあ、どうでも良いけどね、系な? 悩みが解決して良かった良かった、系なー!」
ひとの悩みとはいえ、シトラス先輩の悩みが解決して、私の気分も良くなった。
その日、私はぐっすりと眠ってから、翌朝すがすがしく目を覚ましたのだった。
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