第6話
ワムスの案内で、ワムスがエシオンに救助された場所に来た。そこには、既に誰もいなかった。
「移動したのか?」
「遺体にはなっておらぬのだな」
致死を感じさせる流血の痕跡はない。漂うにおいも、ホコリっぽさ程度。死人が出たとは考えにくい。死人が出る戦いをしたことがないから、想像だけど。
しきりに周囲を気にして、ワムスはせわしない。アクシルの不在がそうさせているんだ。
どんな言葉を吐いても、ワムスはアクシルを本気で嫌っていない。嫌えない。そんな仲なんだ。
「まだ歩けるか?」
ケガの状態が見えないから、ワムスに気づかいは忘れられない。
こんな言葉をあびせるたびに、オレがパルに食らってきた心配が想起してモヤっとする。パルもこんな気持ちだったのか?
「余裕である」
レヴィも体力にゆとりがあるのか、点頭した。
「行き先の検討、ある?」
ワムスは首を横に振った。あるなら、とっくに移動しているよな。
「歩こう。なにか見つかるかも」
2人の返事を待たないで、オレは歩き始める。手がかりが見つからないまま、しばらく歩いた頃。
「あれかっ!?」
遠くから聞こえた、覚えのない声。振り返って見えたのは、こっちに駆け寄る男。
あふれる敵意で、襲撃だとすぐにわかった。
気配に気づけなかったなんて、ワムスの精神状態がうかがえる。
すぐさまワムスが魔法を詠唱する。詠唱が見えたのか、男は木々の隙間をぬって近づいてくる。
指先で鋭利な氷を漂わせながら、ワムスは目標だけを一点に見つめる。タイミングを計って鋭く放たれた氷は、男の腕をかすめた。
オレもレヴィも武器を構えて、近づく敵にそなえた。
ワムスを攻撃されないように気を配りながら、どうにか勝利を手にできた。ワムスが魔法に集中できて、多くを命中させられたのが大きい。
見た目に反した戦闘力があったレヴィも、貴重なダメージソースになった。
うつぶせにさせた男の両手をつかんで、抵抗できないように自由を奪う。
「なにを目当てで来た?」
このメンツ相手に金品目的ではないだろうけど、念のために目的から聞く。
「お前に決まってんだろ」
オレを見て言われた。やっぱりそうか。
ペンダントをしているのに狙われた。オレの顔で狙われたんだ。ペンダントをつけても、オレの種と顔を知るヤツがいたら狙われるってことだな。
「目的は?」
「ボスの命令だよ!」
コイツも命令か。
「アクシルという名の者をとらえておらぬか?」
「さぁ。男なら1人つかまえたけど」
「どこにおる!?」
詰め寄ったワムスに、男は顔をしかませた。腕の拘束を強めたら、あっさりと場所を吐いた。仲間意識はそこまで強くないのか? いつだかの男みたいに、金で雇われただけか?
もうオレらに手を出さないと約束させた男を解放して、賊がいるという場所に急いだ。
目的の廃墟に進入する。人の気配は感じられない。
「だまされた、のか?」
不安げなワムスの声が、悲しく反響する。
『どこでもいいから、話したら解放される』と、適当に言われた可能性はある。逃がした以上、真実の場所を聞き出すことはできない。
男をここまでひっぱるべきだったか? 後悔しても遅い。
「僕は、だまさないよ。いつでも素直に……」
遠くからかすかに、でも確実に、覚えのあるゆるやかな声が聞こえた。にごりのない清涼さとほのかな甘さの融合した声は、聞き間違えようがない。
誰よりも早く反応したワムスは、発生源を瞬時に特定して駆けていく。オレとレヴィも、あとに続く。
「こんな場所で寝るバカがおるかっ!」
地面に倒れたアクシルがいた。顔はこっちに向いて、ワムスにおだやかな笑顔を向けている。多少の傷はあるけど、ひどい流血はない。
「『こんな場所』は禁句ではないの?」
服には、激戦を感じさせるよごれが残っている。表情にも疲れが見えて、苦戦を強いられたと安易に想像できた。
軽口をたたく余裕はあるのか? 最後のたわむれにならないよな?
「アクシルがおるだけで、どんな地も『残念な場所』なりおる!」
反響させて、ワムスはアクシルの前にヒザをついた。
「ケガか? 折れてはおらぬか?」
「心の病気かな。治せるのは、君だけだよ」
安定のスルーでワムスはアクシルの体を、腕を、足をぽんぽんたたいた。
刺激を楽しむように、アクシルはゆるやかにまぶたを閉じる。表情に『法悦』の単語が一瞬よぎったけど、見間違いと判断してすぐに払拭する。
「ふむ。折れてはおらぬか」
折れていたら、悪化させたんじゃないのか? 折れていたらさわらせまいととめるから、どっちにしろわかったって意味?
「心は折れそう」
開けたまぶたから、曇った瞳を地面に落としたアクシル。
心配を吹き飛ばす光景で、オレは笑みが漏れそうになった。初遭遇のレヴィは、口をあんぐり開けてたたずんでいた。
視線が重なったから『いつもこんな感じ』と伝わるように、コクリとする。伝わったかはわからないけど、迷いがちな点頭を返してくれた。
「あと、大切な基盤の骨盤の骨折を確認してほしいな」
「賊はどうした?」
さっきまでオロオロ心配していたのに、ワムスはその様子を一切感じさせない無視っぷり。アクシルの落胆を前にしても、ワムスは態度をゆるめない。
「服越しだとわからないよね。直接、確認して。むしろ、ナカから調べてほしいな」
「賊は?」
「骨だけではなくて、軟骨も調べてほしいな。もっと強く探ってくれないと、異変を見逃しちゃうよ」
今まで見た以上の光景に、喉から出る言葉を失った。
いつもこんな感じなんて、レヴィに想像以上のイメージを植えちまったか? 体現するように、レヴィは気づかれない程度にかすかに後退を見せた。異星人を前にしたかのように、双眸がカクカクと震えている。
「耳を負傷したのか? 賊、ナイス」
「賊の肩を持つのかい?」
ゆるい返しに、ワムスは無言の圧を戻した。ワムスの背中しか見えないオレからも『聞こえているなら、早く返答をよこせ』と書いてあるのがわかる。
「男が来て、賊は全員逃げちゃった」
アクシルも悟ったのか、今までの流れを諦めて求める答えを返した。
「エシオンか?」
「なにそいつ。浮気は厳禁だよ」
アクシルはまだ、エシオンを知らなかったか。エシオンの外見特徴を伝えたら、アクシルの言う男も同じ特徴があった。アクシルを助けたのはエシオンだ。
「仲間だったんだね」
納得はしたのか、アクシルは浮気疑惑を撤回した。浮気を責められる仲ではないだろうけど。ツッコむ気は起きない。
「エシオンはどこに消えたのだ?」
「僕のケガは平気って伝えたら、賊を追いに消えちゃった」
深追いしたのか。無事だといいけど。
この口ぶりだと、エシオンに大ケガはなかったんだよな? ワムス以外のヤツでも大ケガをしたら、アクシルとはいえども気にかけるよな? きっと。そう思おう。
「平気なら、治療の必要はなかろう」
アクシル自身の口からの『平気』宣言に、ワムスは起立しようとする。そんなワムスの細い手首を、アクシルはパシリとつかんだ。
「強がりに決まっているだろう? 本当は、全身が痛くてつらいんだ。なめて治療して」
アクシルにつかまれるのには抵抗がないのか、ケガを案じてか、ワムスは振り払いはしなかった。そっと腕を抜いて、自由を戻す。
「唾液は、ケツより雑菌が多かろう」
今までのワムスのイメージを壊す発言に、内心ビビった。アクシルを前にこんな話をしてもいいのかと思ったけど、意外に反応は薄い。
レヴィの反応のほうが強かった。ワムスの印象まで変わって、レヴィの心情は大嵐か? ワムスもいつもはこんなではないのに。どうしたんだよ。レヴィに誤解される。
ある意味、今のほうがワムスの本性だったりするのか? 久々の再会にゆるんで、オレらの前では今まで見せなかった面が露出したのか?
「下半身でなめてくれるのかい? 予想以上の大サービスだなぁ」
と思ったら、ひどい返しをさらりとした。アクシル、自重を知らないのか。実家に置いてきたのか? 回収に戻れ。
「……小便で消毒はできなくもない」
ワムスもまさかのゆるい態度だった。ひどい言葉をあびすぎて、感覚がマヒしたか? アクシルの心配が強いだけ?
「君のシオなら、僕の特効薬になるよ」
既にアクシルを見ていないレヴィ。オレは、強い苦手意識が芽生える瞬間を見たのかもしれない。すまん、レヴィ。外で見たかったのは、こんな光景ではなかったよな。
「脳の損傷がひどいな。治療しても、無意味か」
「猫はなめて、ケガを癒すんだ。僕も君も猫の気分になったら、薬になるよ」
ここまで言えるなんて、アクシルは本当にケガは平気そうだ。ずっと倒れているのも、すべてこの発言につなげるためではと邪推するほどに。
単純に、いつもは見られないローアングルのワムスを楽しみたいだけだったり? どっちにしろ、余裕だ。
「立てる?」
余裕を感じられるけど、戦ったなら多少のケガはあるよな。邪険に扱いはできない。
ひどい話を終わらせるべきの思いもあって、声をかける。
思えば、一方的に別れて以来のアクシルだ。いつも以上の光景がくり広げられて、よぎる余裕がなかった。
アクシルはワムスに夢中で、オレの存在に気づいているのかと疑問が生じるほどだ。
事実、声をかけたオレにもアクシルは一瞥もしなかった。色を失った瞳がそろりと地面に落とされる。
「治療されないと、元気が出ない」
本来なら、心配するべき発言だろうけど。話の流れのせいで静観しかできない。
「ふむ。急ぎたいゆえ、3人でやるか? 猫の気分で」
オレらを見てのワムスの魔の言葉に、アクシルはすっくと体を起こした。痛みがあったら、あそこまでさらりと起きられないよな。本当に大きなケガはなかったな。
「治ったのだな。すさまじい治癒力だ」
「一部分は治っていないんだ。あとで治療に来てね」
ここまで来ても、アクシルは素直に撤退しなかった。このメンタル、すさまじい。
「消毒は大切だ。今思ったのだが、激辛トウガラシともなれば、菌をすべて除却してくれるのではないか?」
「君が口に含んで、なめてくれるんだね。新しいな。楽しみ」
ワムスなりにやり返したであろう言葉は、強硬なメンタルで受容された。
傷口にトウガラシもつらそうだけど、口に含むのも大変だろ。ましてや、なめて治療なんて。共倒れしかしない。
『楽しみ』と言えるなんて、強がりか、マゾ気質か、ワムスの施しならなんでもいいのか。どれでもいいか。
「真っ当な治療方法がある。それでな」
この流れで、オレまでトウガラシ治療をすることになったら嫌だ。
アクシルなら、本当にやらせかねない。オレらが免除になったとして、ワムスにやらせるわけにはいかない。
「激辛なめずりは、これからの治療のスタンダートだよ」
「ならば、セルフでやってくれ。うちはからいのは好かぬ」
安定の無視で、ワムスは外に歩き出した。不安や心配をすっかり感じられなくなった背中に、自然と笑みがこぼれた。
ワムスとアクシルの変わらないやりとりを聞きつつ、自分で歩けるアクシルと建物を出た。疲労程度で、大きなケガはなかったらしい。
ひとまず、パルの待つ場所に帰ることにした。重症ではなさそうだけど、アクシルの傷を無視はできない。
レヴィの案内で場所について、入口が開かれた。レヴィも、あの場所に行ける術を持っていた。
突然の移動に、アクシルは珍しそうに視線を動かした。
その隣で、ワムスがパルかエシオンから聞いたらしいこの場所の説明をする。蘇生種が住む場所だとは伝えられていないらしい。
戻ったオレらに気づいたのか、パルが歩いてきた。
「無事だったんだね」
乗せられたパルの笑顔には、安心がにじむ。
「久しぶり……って言うほどのブランクではないかな」
ここに来て、ようやくアクシルとの再会らしき空気になった。にしては、やけにあっさりだ。ワムス以外との再会だから、特別なうれしさはないのか。
ずっとここに隔離されていたオレは、日付の感覚が曖昧だ。ワムスたちと別れてから、どれくらいがたったんだ?
「悪かったな。手紙だけで消えたりして」
オレが書いたわけでもない。納得した別れだったわけでもない。
身勝手に別れたのは事実。オレからも謝る必要がある。
「ひどいよ」
さほど気にしていないのかと思ったら、意外にも不満をのぞかせたアクシル。ワムス以外の相手にも、別れに感情はあったのか?
「ワムスからの色文かと思ったのに。構えて開いた僕の落胆がわかるかい?」
オレらとの別れは、ちっともこたえていなかった。ワムスのことしか考えていなかった。
あきれたくはなる。気にしていないなら、オレも自責を感じないで済むか。アクシルは気づかってこう言った、わけではないよな?
「ワムスを先に行かせるなんて、ひどいよ。見つけるのにどれだけかかると思っているんだい?」
オレらとの別れより、ワムスとの別れのほうが重要か。そうだよな。
こんな事情があるから、ワムスは先に出立した。この流れだと、言う必要すら感じない。
「ワムスを助けられたのってさ」
ここまで聞いたら、ぼんやりと見えてくる。
「運命に導かれて、見つけられたんだ」
やっぱり、ストーカーが発動か。救助に使えたから、今は責められない。
徐々に顔色が悪くなるレヴィが気になるけど、いちいちフォローもできない。静観してくれ。なれてくれ。
「そんな運命、なかろう。腐れ」
ワムスの暴言すら、アクシルの癒しになるように笑顔がおだやかになる。
「草を食べる姿。花を食む姿。水を飲んで口を拭う姿。どれも愛らしく焼きついたよ」
ワムス、食ってばかりだな。野草にむさぼりつくのは日常か?
「どこから見ておったのだ。クズめ」
「もう少ししたら、お手洗いなり水あびなりが見られそうだったのに……賊め。邪魔しやがって」
語末に移るにつれて、アクシルらしからぬ嫌悪の表情に変わった。
さすがにこの発言には、ワムスも眉を動かす。なれっこになりかけたオレも、ひかざるを得なかった。レヴィは、アクシルからじりじりと離れている。
「治療を頼めるか?」
これ以上の発言を嫌うように、ワムスは強い語気で発した。多少の怒りを感じるのは、気のせいか? プライバシーの危機があったら、怒りもするか。オレだって、パル相手でも見られたくない時間はある。
「僕はワムスにしかされたくないよ」
アクシルの言葉を無視して、パルは歩き始める。無視して続いたワムスに釣られるように、アクシルもとぼとぼとあとを歩く。オレらも一緒に移動した。
ついた先で住民に治療されるアクシルを前に、パルに大体のあらましを伝えた。
「不明なのは、エシオンだけかい?」
パルが『襲撃者を狩る』と言ったのを聞いて、パルの負担を減らすために賊を追いかけてくれたのか? 単独で行くなんて、不安を与える行動だ。
ワムス以外に治療されて不満げなアクシルに視線が移される。目をそらしたくなるほどのケガはない。さっきのぐったりは演技か、ただの疲労だったな。
「賊はどんな人がいたの?」
「男は記憶しないよ」
パルはオレらを襲撃した男の特徴をあげて、合致する賊がいたか聞いた。該当する賊はいなかった。オレらを襲ったのとは別のグループか。
「おかしな話はしていたな。蘇生とか」
治療する人の手がピクリと動いたけど、平静を装って治療は続けられた。
やっぱり、オレが狙いか。
2人をここまで危険にさらして、隠し続けられるわけがない。
「それだけどさ」
「やめな」
話そうとしたら、パルに素早くとめられた。
「黙るほうがよくないだろ」
「でも――」
「もうまきこんだ。だんまりを決めるつもりか?」
オレの反論を前にしても、パルはあげた眉を崩さなかった。オレをまっすぐとらえる双眸は、心配をにじませている。
「まさか信頼してないとか? オレの情報を売るかもとでも思ってるわけ?」
イライラのまま投げた言葉に、パルは反射するように目の色を変えた。
「違っ……そんなわけ」
「どうしたのだ?」
ワムスに促されるように、ワムスに、アクシルにすべて伝えた。オレの言葉が効いたのか、パルは一瞥だけでとめなかった。レヴィもオレの意見を尊重してか、口をはさむことはしなかった。
蘇生種のこと。この場所のこと。オレのこと。聞いたこと、思い出したことのすべてを。
夢みたいな話だから、そう簡単に信じてもらえないだろうな。と思ったら。
「苦労したのだな」
「つかまえるように、貴族にでも頼まれたのかな」
意外にも、あっさりと信じてくれたらしい。
「信じる、のか?」
「ウワサは聞いたことがあるよ」
「疑いにかかるのはよくなかろう」
こうもあっさり信じられると、受容まで時間がかかったオレが異常なのか? 違うよな。ワムスたちがどっしりした精神の持ち主なだけだよな。
「そんなウワサ、あったのかよ」
オレは聞いたことがなかった。集落では流れていなかったのか? オレの耳に入らないようにされていたのか?
「あるお城に、蘇生種について書かれた書物があってね。『本当にいるのではないか』って。一般には流れていないよ」
ワムスの視線がちらりとアクシルに向いた。なにか言いたげな口から作られる言葉はない。
一般では流れていないウワサ。アクシルが知っていたとなると。アクシルは『一般ではなかった』と暗に語っているようだ。
前にワムスが漏らした『アクシルの身分』がよぎる。
アクシルにも、事情があるのか? 今、聞くべきことではない。知る理由もない。
「他言厳禁ね」
「理解した」
「言われなくても、そのつもりだったよ」
パルの念押しを、2人は軽くあしらった。ここでも心配性かよ。信頼しろよ。話の内容的に、言いふらせないって伝わるだろ。
「ベールがあるのにオレが狙われたと考えると、とっくに顔が割れたと考えられる」
「ペンダントに加えて、変装しないと歩けないね」
顔バレしたなら、顔を隠したらどうにかできるか? 戦いにくくなるな。
「隠れるより、さらして誘うほうがよくないか?」
「危険。却下」
「逃げ続けたって、狙われ続けるんだ。根本を見つけて、たたくほうがいい」
この問題に根本解決があるかわからない。
オレを狙った全員をつかまえたとして、新たな襲撃者に狙われるだけかもしれない。でも戦い続けたら、いつか皆無にもできるはず。
「ディセットがやる必要はないよ」
「種の保全を願うなら、誰かがやらないといけない問題だ」
『誰かがやってくれる』と悠長に構えたら、誰かが犠牲になる。そんなの嫌だ。
狙われなくなるなら、オレの利益にもなる。損だけをこうむるわけではない。
「だったら、人間だけでやるよ! ディセットが身を危険にさらす必要はない」
「その間、オレはどうしろと? また室内モード?」
人間だけだと、今判明している賊の顔程度しかわからない。まだ対面していない敵を明かせない。得策ではない。
「外を出歩けて、賊の脅威もつぶせる。得しかないだろ」
パルが語るような、危険にさらされるデメリットもある。でもなにもしないと、なにも変わらない。安全な外での生活を手にするためにやるだけだ。
「でも……」
「パルがいない間、かなりキツかったよ。なにもしないで待つなんてできない」
口を開いたパルは、迷いを見せただけで静かに閉ざした。すぐに反論できないだけの意気にはなったか?
「パルがオレを心配するのと同じくらい、オレもパルを心配してるからな」
面と向かって言うのはてれくさいけど、オレの本心だ。
「心配する思いは、誰とて同じ。うちも力をつくして、ディセットに危険が及ばぬようにする。しばりつけるのはよしてほしい」
ぐらつくパルに届けられたワムスの声に、驚きが作られた。
「ワムス、来るつもりか?」
「違った、のか?」
すっかり同行するつもりだったのか、ワムスは眉を垂らした。
ワムスに来てもらうのはありがたい。でも今までの話を聞いたら、わかるはずだ。
「オレを狙うヤツに無尽蔵に襲撃される可能性が高い。無関係のワムスをまきこむわけにはいかない」
既にワムスにケガを負わせてしまった。アクシルにケガをさせたことも、ワムスを傷つける要因になったよな。これ以上ワムスをまきこむいわれはない。
「無関係ではない」
まっすぐとオレを見て、ひねりのないストレートがぶつけられる。細い声に、揺らがない芯が伸びている。
「ともにすごしたであろう。これを無関係と言うのか」
「短い期間だっただろ」
一緒にすごした時間は、とても短い。あれこれあったから、長く感じる思いもあるだけ。そんな短時間を一緒にいただけで襲撃されてケガを負ったなんて、むしろ損になったとしか思えない。
「こんなうちを受容してくれた。ディセットはともに領主と戦ってくれた。短くても、濃い日々だったと思える。濃すぎて、粘度が高すぎるほどに」
言いすぎにも思える。でもワムスも、濃い日々だと思っていたのか。
「関係は、長さで決まるわけではないと思います。ディセットと出会って数日ですけど、どうでもいい存在とは考えられません」
レヴィは室内に隔離されたオレに飯を届けたりで、情がわいただけかもしれないけど。同種族っぽいし、その情もあるのかもな。
だとしても、たった数日でここまで思ってくれるなんて。
「ディセットだって、そうでしょう? だからアクシルを救いに駆けたのでしょう?」
レヴィの言葉がすとんと落ちた。
オレのせいで危険にまきこまれたとも言えるから、助けるべきだと思ったのもある。オレ無関係で危険にさらされていたとして、オレはアクシルを救わない選択をしたか?
「そう、だな」
違う。オレはきっと、どんな事情であれアクシルを助けたいと思った。ツッコミたい言動は数えきれないほどあるアクシルだけど、悪いヤツではないのは伝わっている。
「ディセットにそこまで思われていたなんて。応えられないよ」
アクシルらしい軽口は、空気を一瞬だけなごませた。悪く言ったら、壊したとも表現できる。本人に悪気はないだろうな。
「いいよ、アクシルは自由にしろ。危険覚悟で同行してもらう気はない」
今回はひどいケガにならないで済んだけど、次はどうなるかわからない。全員に言えることだけどな。
「ディセットにどう言われても、僕の行動は変わらないよ」
アクシルの視線は、ワムスに動いた。アクシルに漏れる笑みで、伝えようとすることがわかった。
「いいのか? なにがあるかわからないんだ」
危険があるかもしれないのに、ワムスの執着を選ぶのか? アクシルらしいとも思えるけど、いいのか?
「ワムスのいない道を選ぶなんて、ありえないよ」
これがアクシルの選択か。
ワムスに執着する姿を見る限り、ワムスが『火山口にダイブする』と言ったとしても笑顔で同行しそうだ。アクシルの選択に疑問はない。
「本当に、後悔はないの?」
「見捨てるほうが後悔につながる」
パルの最終確認にも、ワムスは意見を変えなかった。危険に襲われる可能性があっても、見捨てたくない。ワムスの主張。
オレの考えも変わらない。パルの心配もわかるけど、曲げられない。
「ワムスから離れるほうが後悔だよ」
確固たるアクシルの信念を前に、パルの表情がゆるんだ。
「わかった。ありがとう」
そして、ゆっくりオレに向いて。
「絶対、無謀は禁止」
ようやく吐き出された、パルからの認める言葉。
「話はまとまった?」
部屋の外から聞こえたのは、エシオンの声。視線を向けたら、壁に手をついてこっちを見るエシオン。
いつの間に帰ったのかよ。今までの話、聞いていたのか? 見た感じ、大きなケガはなさそうだ。
「エシオン?」
指して聞いたアクシルに、オレやパルは点頭して返した。
「平気そうじゃん」
アクシルを見て、エシオンも声を漏らす。エシオンが見たのは、ぐったり倒れるアクシルだったのか?
「ワムスを見たら、どんなケガも吹き飛んじゃうよ」
「散々『治療しろ』と陳じたくせに」
「効力が遅延したみたい。すぐに治すには、なめてもらうしかないよ」
この言動のアクシルを見るのは初めてだったのか、エシオンの目があきれるように細められた。
「大丈夫だった?」
『アクシルの態度は気にしなくていい』と言うように、レヴィはエシオンだけを見て聞いた。エシオンも瞬時に『気にする必要はない』と悟ったのか、レヴィだけをとらえる。
「逃した」
短く返されて、全員の視線がエシオンに向けられる。
「追いかけて、戦おうとしたぜ。よそから煙玉を投げられて、その隙に」
逃したのが悔しいのか、エシオンは顔をゆがめた。
「他に仲間がおったのか?」
「煙が濃くなる前に投げられた方角を見たら、走り去るローブがあったぜ。賊がローブを着るか?」
賊に詳しくないオレは、賊とローブの関係はわからない。
「他の賊は特殊な装備はしていなかったな。ローブだと浮くね」
「アレこそが、本当のボスかもな」
長い髪をいじりながら、エシオンは天を仰いで吐き捨てた。
「賊のボスより上の存在がいるの?」
心配が逆立ったのか、パルは不安げに聞いた。
「可能性な。あの賊以外からも狙われたことを加味すると、賊に命令する黒幕がいると考えれば筋は通るぜ」
集落の近くでオレを襲った男は、今回の賊とは関係なさそうだった。
オレを狙う黒幕が、各地の賊にとらえるように命令した?
賊が下の賊に命令して、多くの賊がオレを狙うようになったのか? そこまでになったと考えると、オレのペンダントはほとんど無意味だ。
「下っ端の賊をたたいても、黒幕が別の賊を使うまで。黒幕をたたかないと、永遠に続くぜ」
倒すべき相手が確定された。目標は、賊に命令したと思われる黒幕。
「任せろ。内偵活動はなれっこだぜ」
早々と終わらせて、エシオンは身を翻して立ち去ろうとする。
「待てよ。オレも一緒に行く」
オレの申し出に、エシオンは眉をひそめた。エシオンの説得が残っていたか。
オレを勝手に出したこと、レヴィは怒られたりしないか? 正常に話していたから、大丈夫か?
「うちも同行を願いたい」
「安全は変えがたいけど、ここにい続けさせるべきではないと思ったんだ」
今までのことをすべて、エシオンに話した。
ワムスやアクシルにオレのことをすべて話した上で、一緒に行動するという話でまとまったことを。
怒るかと思ったら、エシオンは軽い笑みを作っただけだった。
「覚悟があるなら、ご自由に。ケガがあるから、休むか」
思いのほか、あっさりした同意だった。オレを隔離した際は人聞きが悪かったのに。
「理解が早いな」
「信頼できなかったら、俺が2人をここにつれないぜ。俺の判断に誤りはなかっただけの話」
ワムスたちを中にいれて裏切られたら、蘇生種を総捕獲される可能性もあった。エシオンは直感なりで『2人はそんなことはしない』と思って、ここに迎えたのか。
オレらの監視をしていたなら、ワムスたちの言動も見ていたのか? 監視中に『2人に危険はない』って判断したのか?
だからこそ、この結論に至ったことに驚きはなかった。むしろこうなると思ったのか? 逆にこの結果にならなかったら、エシオンはすぐにでも2人を追い出したりしたのか?
レヴィにペンダントを預けたのも、すべてを見透かしてのことだったりして。エシオンの真意はまだわからない。
「しっかり休めよ。あと、鍵はかけないからご自由に」
最後の言葉はオレに向けられたんだとはわかった。
治療を終えて、全員で飯を食った。隔離された室内で1人で食ったことしかなかったから、新鮮だけがあった。
各自部屋に案内されて、オレは隔離の記憶に新しい部屋に戻った。嫌な思い出が想起したけど、扉にはちゃんとノブがあった。つかんだら、ただの扉同様に開閉できた。ノーマル扉にできるのかよ。ノブを消す術でもあったのか? 漠然とした安心と不満を胸に、床についた。
朝起きて扉に歩いたら、苦労なく開けられた。施錠がなかったら、ここまで自由に出入りできたのかよ。
前日の飯中に伝えられた時間に飯を食った場所に来たら、既に数人の姿があった。全員がそろって飯になって、エシオンの口が切られる。
「ケガの具合は?」
「案ずるな」
「ワムスになめてもらったら、すぐに治るよ。昨晩も、ずっと待っていたのに」
そのネタ、いつまでひきずるんだよ。アクシルの顔にクマがあるように見えるのは、気のせいだよな? きっとそうだ。
「遅延程度なら、もう治ったであろう」
ワムスの顔はつややかで、ぐっすり眠ったことは安易にわかった。アクシルの無事が確認できたからか、熟睡できたらしい。
「もっと遅延みたい」
ここまであしらわれ続けて、アクシルはよく続けるな。静観ではなくて、とめるべきか? ワムスもそこまで嫌そうには見えない。どうするべきか判断できない。
「『積極的に動かさないほうがいい』とは言われた。懸念するレベルではないって」
飯中にアクシルの話が始まるのは危険と判断してか、パルは自身のケガの様子を伝えた。
言いつけを守っているのか、パルの左腕は地面に垂れたままだ。両手を使うほうが快適に食えそうな料理も、右手だけで食い進める。利き腕が自由だから、そこまで不便ではないよな。
「万全とは言えなさそうだな」
重症者はいないけど、寝ただけで回復できるほどのケガでもなかったか。
「回復するまで休むか、治安のいい国で情報収集するか。どっちがいい?」
「移動しながらでも治る傷だ。うちは後者で構わぬ」
ケガを案じてか、ワムスは隣を陣どるアクシルに軽く視線を投げた。
「ワムスがいたら、どこでも治るよ」
「まだまともに戦えそうにないけど、それでもいいなら」
無傷でも、パルはまともに戦えないだろ。よぎった言葉は発さないでおく。
全員が情報収集の選択をした。オレも急ぎたいし、二言はない。
「リーター王国って国が近くにあるぜ。そこで情報収集はどうよ?」
「平和なの?」
初めて聞く国だから、オレもパル同様に事情がわからない。地理に詳しそうなワムスやアクシルは知ってんのか? 視認したら、さっきまであった笑顔がアクシルから消えていた。
これからにそなえて、マジメに話を聞くつもりか? 冗談らしい面だけではないから、信頼もできるんだよな。言動さえもっとゆるかったら、もっと慕えるだろうに。
「騎士がしっかりして、住民の生活も考えた統治。平和ボケすら感じるオーラにあふれるぜ」
ひどい領主がいた、どこかとは大違いだ。上に立つ人がしっかりしていたら、どんな地も平和にあふれるのかもな。
「騎士が街をうろついておるのか?」
「巡回と言え」
エシオンの鋭い指摘に、ワムスは顔をうつむかせた。意味的にはそこまで変わらなさそうだけど、感じる印象が異なる。言葉のふしぎだ。
「他の場所はないのかい?」
話がまとまるかと思ったら、アクシルが異議を唱えた。見なれた、ほがらかな表情に戻っている。
「不満?」
エシオンの問いに、アクシルはほがらかなまま笑った。
「今まで、村ばかりだっただろう? ディセットたちは人が多い場所になれていないんじゃないかい?」
アクシルにしては珍しく、オレらを考慮しての提案だったのか? アクシルから優しさをあびるとは意外だ。
集落や村の経験しかなかったオレ。国だと、人は多そうだ。人ごみ初体験にはなるか?
「気にすんな。オレは平気」
パルも『大丈夫』と言うように点頭した。気になるのは。
「人が多いって、いいのか? オレと一緒にいるのを、多くに見られることになるだろ?」
ペンダントの有無に関係なく、一部のヤツはオレの顔と種族が合致している。顔を見られただけで、ワムスみたいに危機を与えかねない。
「話、聞いてた? 騎士がいて安全だぜ」
守るべき騎士がいるなら、国の中は安全か? 街中で騒動になっても、騎士が擁護に回ってくれるなら。
「その場で平気でも、外に出た瞬間に襲われない?」
パルの心配性は永遠に健在だ。
オレと一緒にいるのを見られたら、全員の顔を覚えられる。覚えられたら最後。ワムスみたいに狙われる可能性は考えられる。今回ばかりは、当然の心配か。
「騎士がいる国に近づく賊は、そういないぜ。いたとして、騎士に注意を払って気づく可能性は低くなるだろうさ」
賊の感情はわからないけど、そんなもんか?
顔を覚えられる可能性は皆無ではないけど、低くなるならいいのか? 全員、危険は覚悟してくれているんだろうし。
オレが一緒に行動しなかったら、顔を覚えられる危険は考えなくても済む。
でも、オレ1人残るのは嫌だ。既に、一部の賊に顔は覚えられたんだ。危険な目にあうかもしれないのに、オレ1人だけ安全な場所でぬくぬくすごせない。
他の人からの指摘もないから、オレが行くことは了承してくれてるんだろ。
飯を終えて、最後の治療を待って、薬とかももらった。
反対の声は続かなくて、リーター王国に行くことで話がまとまった。全員の準備が終わったら、リーター王国に向けて出立する。
「よろしければ、どうぞ」
レヴィがオレに渡したのは、1枚の布だった。特別な効果がありそうには見えない。
「頭にまいたら、少しは顔がわかりにくくなるかと」
そんな意味か。なにも持っていなかったから、変装の手段を考えていなかった。準備中に見つけてくれたのか?
「悪いな」
「いえ。こんなものしかなくて、ごめんなさい」
髪や顔が極力隠れるように、頭にまく。なれない感覚は違和感だけど、危険を減らすために仕方ない。
どんな姿になったか、近くの窓ガラスに視線を送る。見なれないのもあって、思わず吹き出しそうになった。
すれ違う人に違和感を覚えられたら、変装の意味がない。自然になるように微調整を加えていたら、準備を終えた面々が集まった。
出立しようとした瞬間。
立ち位置に困った様子のレヴィがいた。
「来る?」
「いい、ですか?」
オレに、エシオンにオドオドと視線が動いている。アクシルを救いにレヴィが出たことは、エシオンはまだ知らないのか? エシオンに無断でこっそり出たとしたら、この反応も納得だ。
「オレはいいよ」
ワムスも点頭した。パルは、エシオンに一任するように視線を移す。
「いつも勝手に出てるくせに」
半眼でぼやいたエシオンに、レヴィはビクリと震えた。子犬みたいに震える瞳は、不謹慎ながら愛らしさがある。
「な……知って」
「俺の能力、あなどってる? ちゃんとベールをつけてるし、近場の散歩だけだから見守ってただけだぜ」
もしかして、オレだけではなくて、レヴィの監視もしていたのか? オレをすぐにここに戻さないで見逃していたらしいエシオン。レヴィを泳がせた温情措置も考えられる。
「近所は、危険はなかったしな」
視線をよそに向けたエシオンの発言が過去形だった原因は、考えなくてもわかった。つい最近、ワムスたちが賊に襲われたばかりだ。以前はレヴィが1人で歩くのも許せるほど、賊がいない場所だったのかもな。
事実、オレが最初にラソン平野に来た際は、周囲に人の気配はなかった。モンスターの襲撃もなかったし、危険はない地だったんだろうな。
オレのせいで、平穏な地に危険を届けてしまったのか? 責任を持って、安全な地に戻すしかない。誰もが安全に歩けるような場所にするしかない。
「自己防衛に注力するなら、見逃してやってもいいぜ」
「ありがとう!」
満面の笑みになったレヴィと一緒に、6人で出立することになった。
気になるのは。
「レヴィは、狙われないか?」
蘇生種らしいレヴィ。オレ同様狙われる危険はある。
「外でベールを外したことはないんだろ? レヴィが蘇生種だとは、賊は知らないぜ」
「ベールはどこにあるのだ?」
首を上下に動かして、ワムスはレヴィの全体を見た。ベルトにあるはずの石が見当たらない。
「ベールで種に気づかれるといけないので、布の中に隠しました」
レヴィが指したベルトの箇所には、さりげなく布がまかれている。オレが石を確認した箇所だ。用意周到だ。
布の奥にある石に気づかれないように、レヴィからベルトが離れないように気をつけたら、レヴィは蘇生種として狙われる心配はない。
「エシオンはどこにベールを隠しておるのだ?」
全身を視認し出したワムスに、エシオンは眉をひそめた。熟視される不快とは違う表情。
「俺にベールは必要ないぜ」
体現するように、エシオンにベールを放つ石は見当たらない。
「蘇生種ではないのかい?」
「エシオンは人間だよ」
アクシルの問いに答えたのは、なぜかパルだった。いつの間に聞きやがったんだ?
「俺はずっとここで育っただけ。蘇生種の血は一切流れてないぜ」
レヴィは賛同するようにコクリコクリとしている。事実らしい。エシオンは人間だったのか。
「ここにいた人間は、エシオンと守り手くらい――」
「長話ししすぎ。出ようぜ」
パルの発言を遮るように、エシオンは歩み出した。理由もわかった。オレを守るために命を落とした守り手。オレを案じて、話を終わらせてくれたんだ。パルも自らの失言に気づいたのか、一瞬だけオレから視線を外される。
「レヴィたちに危険がないなら、安心して突撃できるぜ!」
『気にしていない』と伝わるように、号令のように発して歩き出した。
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