開戦の号砲

相生隆也

開戦の号砲

綺麗に整列をした軍隊が進んでいく。一歩歩くごとに槍を地面に三度打ち付ける行進は遅いが迫力がある。

「進め、進め、進め。

我らの力は御身の為に。

御身の指揮は我らの為に。

我らは御身の勝利を疑わず、

御身は我らの勝利を疑わない。」

怒声が響く。

「その通りだ。

恐れ戦くのを止めよ。

我は退かず、媚びず、顧みず

汝らの先達となり

汝らを導くものである。

我は決して汝らを疑わぬ、

故に皆、

我の声を信ぜよ。

皆が付いてくるならば、

神でも悪魔でも

この手で屠って信ぜよう!」

集団の士気はこれでもかというほどに高まった。

「さあ、行こう!

我らの勝利の為に!」

その声に続き、

「我らの勝利の為に!」

再度、槍が地面に打ち付けられる。

…かくして、此度の戦争が始まりを告げた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

開戦の号砲 相生隆也 @carlot

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る